今後の研究の推進方策 |
今後は以下の研究に取り組む。 【バロニア以外の種における原子間力顕微鏡による細胞壁の液中観察】液中観察用の試料容器を用いてバロニアに続いてフシナシミドロおよびシャジクモにおいても細胞壁内外表面における細胞壁の骨格要素とマトリックス要素の原子分解能形状像を大気中,および液中AFM観察により取得する。また,バロニアも含めた3種類の材料を用いて,生細胞におけるのと同様の張力をかけた単離細胞壁における経時的な観察を試みる。 【生理的条件の調節】バロニア類やシャジクモ類の細胞壁は,酸性条件下およびCa2+キレート剤処理により伸びやすくなることが知られている。まずこのことを本研究においても確認した上で,このような細胞壁の伸びやすさや強度を変化させるような条件で,骨格要素とマトリックス要素の微細形態の経時的変化の液中AFM観察を行う。フシナシミドロの単離細胞壁は弱アルカリ性条件下で最も伸びやすくなり,酸性条件下では非常に伸びにくくなる。また,タンパク質分解酵素や1,3-βグルカナーゼで処理することにより,細胞壁マトリックス要素が分解されてその強度が弱まる。フシナシミドロにおいてもこれらの処理が,細胞壁構造に与える影響を調べる。
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