研究課題
円石藻は、ハプト藻植物門に属す微細藻類で、細胞表面に精巧な形態の石灰化された鱗片(円石)をもつ。本研究では、その石灰化の分子機構の解明を目的とし、Pleurochrysis haptonemoferaを用いて以下の結果を得た。1. PleurochrysisのRNAi による円石形成関連遺伝子のスクリーニング系を確立し、cDNA マクロアレイ解析・転写産物データベースを活用して得られた候補遺伝子のスクリーニングを行った。円石形成細胞特異的発現遺伝子についてRNAiを行い、偏光顕微鏡観察及びフローサイトメトリーにより細胞の石灰化の度合いを調べたところ、系の確立で用いたカーボニックアンヒドラーゼ遺伝子に加え、13遺伝子のRNAiでコントロールと比較して円石形成の少ない細胞が多く確認できた。特に4遺伝子では顕著であり、これらの遺伝子がPleurochrysisにおいて円石形成に重要な役割を果たしていることが示唆された。2. in vitro石灰化実験により、円石の基板(ベースプレート)上のSDS・DTT可溶性タンパク質と酸性多糖Ph-PS-2が石灰化の開始に重要であることを明らかにした。このタンパク質のLC-MS/MS解析を行ったところ、RNAi法によりスクリーニングされていた円石形成関連候補遺伝子の産物の1つに一致することが示唆された。そこで、全長cDNAのクローニングを行い、現在リコンビナントタンパク質の解析を進めている。3. P. haptonemoferaゲノムデータベースの構築を目指し、次世代シーケンサーのショートリードデータ(Illumina HiSeq)とロングリードデータ(Oxford Nanopore MinIONとPac Bio Sequel II)を複合させることにより、ドラフトゲノムの向上を図った。上述の候補遺伝子群についてゲノム情報を得ることができた。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)
Algal Res.
巻: 46 ページ: 101814
10.1007/s10126-019-09890-1
J. Gen. Appl. Microbiol.
巻: in press ページ: -
10.2323/jgam.2020.02.002
Mar. Biotechnol.
巻: 21 ページ: 406-415
巻: 38 ページ: 101410
10.1016/j.algal.2019.101410
Bioresour. Technol.289
巻: 289 ページ: 121686
10.1016/j.biortech.2019.121686