研究実績の概要 |
本年度は、まず、昨年度までに構築した機械学習装置、Peptide descriptor (PD)-incorporated support vector machineを用いて、カタユウレイボヤ特異的遺伝子19種類と、リガンドが未同定のGタンパク共役型受容体160種類を入力し、全ての組み合わせについて相互作用予測を行った。その結果、特異的な相互作用を70%以上の確率で行うと予測された組み合わせを7種類検出した。次に、この予測結果に基づき、各受容体をG16タンパクと融合した組換えタンパクを構築し、Sf9細胞で発現させて、特異的リガンドと予測させたペプチドを反応させた。その結果、Ci-GALP, Ci-NTLP2, Ci-LF2, および、Ci-YFV-1とそれぞれの受容体の相互作用が実験的に証明された。さらに、これらの実証結果をPD-incorporated SVMにフィードバックして、再度、相互作用予測を行ったところ、新たに、12種類のペプチド‐受容体ペアが70%以上の確率で相互作用するという予測結果を得た。一度目と同様に、各受容体のG16タンパク融合体をSf9細胞に発現させて、特異的リガンドと予測させたペプチドを反応させたところ、Ci-LF1, 5, 6, 7, 8, Ci-YFV3といった各ペプチドと特異的に反応する受容体を決定することができた。これは、機械学習法で新規ペプチド-受容体ペアの予測、および、それらを実験的に証明した初めての研究である。また、Ci-YFV1と3の受容体の発現分布をリアルタイムPCRで調べた結果、両者とも中枢神経と出水口で共通して発現が認められたが、後者は内柱や入水口でも高い発現が認められた。今後は、これらの実験成果に基づき、ホヤ特異的ペプチドの生物学的役割を解明する。
|