研究課題
本年度は、1)溶液中でのCp-Lip1、CSP1 タンパク質の立体構造を明らかにする。2)化学分子結合に伴う立体構造の変化を明らかにする。の二つの項目について研究を進めた。Cp-Lip1 の機能を理解するためには、溶液中の構造を明らかにし、それがどの様に変化するのかを知ることが重要である。そのためにX 線小角散乱測定(SAXS ; smallangle X-ray scattering)(連携研究者;平井光博)をおこなった。高エネ研の放射光共同利用実験に課題申請を行い、2016G683「匂い分子結合タンパク質」のリガンド結合に伴う構造変化と機能の関連」を申請し、実験責任者 岩佐 達郎として採択を受けることができた。2016年6月、10月-11月、12月、2017年2月の4回にわたりPhoton Factoryで測定を行った。種々のpHでのCp-Lip1、CSP1 タンパク質の散乱パターン、リガンドが共存する時としない時での散乱等を測定した。結果を解析するため、博士後期の院生を群馬大学の連携研究者;平井光博のもとに2週間派遣し、データ解析、結果の解釈についての議論を行ってきた。それらの成果については2017年3月につくば国際会議場で行われた量子ビームサイエンスフェスタにおいて発表した。北大理学部の出村研究室とNMR 測定の共同研究を開始した。ノン-ラベルでのCp-Lip1、CSP1 タンパク質の測定をおこなったところ、明瞭にピークの分離されたシグナルを得ることができたので、現在は15Nラベル試料の調製を進めている。
2: おおむね順調に進展している
本年度は、1)溶液中でのCp-Lip1、CSP1 タンパク質の立体構造を明らかにする。2)化学分子結合に伴う立体構造の変化を明らかにする。の2項目についての研究を進展させることを目的とした。X線小角散乱の手法を用いて、化学感覚タンパク質(CSP)、匂い分子結合タンパク質の小角から広角に渡る散乱パターンをえることができた。また、それらのpH変化、リガンド結合時の変化についても測定することができた。これらの成果について、5件の国際学会報告、1件の招待講演を行うことができた。論文については現在まとめているところであり、本研究は概ね順調に推移していると判断した。
X線小角散乱データを元にした論文をまとめ、発表する。現在2017年4月に測定したデータを解析している。また、6月にも測定を予定している。本年度は、1)化学分子結合に関与し、結合特異性を決定するアミノ酸を明らかにする。ことを目的とし、NMR測定に力を注ぐ。そのため、まず15Nラベル試料を大量精製し、測定を始めたい。また、アミノ酸変異体を作成し、既存の蛍光測定等の手法からのアプローチも試みる。
海外での国際学会発表の日程が合わず、発表できなかった。消耗品について、予定していたより効率的に使用できたため、殆ど他の経費でカバーできた。人件費、謝金を使用する必要が無かった、などの理由から、次年度使用額が増えた。外注した抗体の作成が予定より長引いたため、これについても次年度の支払いとなった。
本年度は消耗品について他の経費との共用を当てにすることができない。また、謝金等の使用も見込まれる。海外との共同研究、発表も予定しているので、予定通りの使用計画で進める。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 5件、 招待講演 1件)
European Journal of Organic Chemistry
巻: 22 ページ: 3748-3756
10.1002/ejoc.201600414
Mongolian journal of chemistry
巻: 17 ページ: in press