研究課題
本研究はシンプルかつ操作可能であるホヤ幼生の中枢神経系をモデルとして、神経活動の高速ライブイメージングと光遺伝学的な手法を組み合わせることにより、遊泳運動を生み出す神経回路の動作原理を単一ニューロンレベルで解明することを目指している。ホヤ幼生の遊泳運動神経回路は5対10個のコリン作動性ニューロンと2対4個のGABA/グリシン作動性ニューロンの合計14個のニューロンによって構成される。今年度は、ホヤの中期尾芽胚、後期尾芽胚の単一細胞トランスクリプトーム解析の結果をもとに、遊泳運動神経回路を構成する各ニューロンの機能解析を行うとともに、遊泳運動神経回路に入力し、遊泳運動を調節するニューロンについても機能解析と発生プログラムの解析を行った。単一細胞トランスクリプトーム解析のデータから、5対10個のコリン作動性ニューロン、2対4個のGABA/グリシン作動性ニューロン、コリン作動性ニューロンへと入力するGABAニューロン、同じくコリン作動性ニューロンへと入力する表皮感覚ニューロンについて、個々のニューロンに特異的なマーカー遺伝子を単離することに成功した。これらのマーカー遺伝子のエンハンサー領域を用いて、各細胞に光遺伝学的なツールを発現させ、その活動を制御することにより遊泳運動における機能の解析を行ったところ、遊泳運動の開始と維持、遊泳運動の停止、遊泳運動の修飾に重要な働きをするニューロンを同定することに成功した。さらに、個々のニューロンで特異的に発現する転写因子/シグナル分子の機能を阻害することにより、各ニューロンが欠損した個体を得ることにも成功した。
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Current Biology
巻: 30 ページ: 1555-1561
10.1016/j.cub.2020.02.003.