研究課題/領域番号 |
16K07435
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
阿部 秀樹 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (90396804)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ペプチド放出 / トランスジェニックメダカ / 神経修飾ペプチド / イメージング |
研究実績の概要 |
魚類終神経GnRH3ペプチド神経系をモデルとして、ペプチドニューロンによる感覚情報処理に対する神経修飾機構について、”ペプチドニューロンはその活動に応じて何時何処からペプチドを放出するのか?”、また、”放出されたペプチドはどのように感覚野行動を司る神経回路を修飾するのか?”を明らかにすることを目的として研究を進めている。 そのためGnRH3ペプチド産生ニューロン特異的に蛍光開口放出センサータンパク質を発現するトランスジェニックメダカを作製し、脳内における神経ペプチド放出の時空間動態をイメージングにより明らかにすることを目指した。 GnRH3ニューロン特異的に蛍光開口放出センサータンパク質(シナプトフルオリン;SpH)を発現するトランスジェニックメダカを作出し、同胚~稚魚をまるごと、もしくは個体から脳を取り出した全脳in vitro標本を用いて正立落射蛍光顕微鏡によるSpH蛍光強度変化のライブイメージングを行った。また神経ペプチドを含む有芯小胞の開口放出を特異的に検出するため、神経ペプチドY (NPY)とpH感受性蛍光タンパク質 (pHluorin)の融合タンパク質をGnRH3ニューロンで発現するトランスジェニックメダカ作出を試みた。 受精後3~5日胚および孵化直後の稚魚を使用してイメージングを行ったところ、in vivoでは蛍光が弱くSpH蛍光強度変動を検出することが困難であったが、全脳in vitro標本を用いた実験ではGnRH3ニューロン細胞体および軸索において自発的、および薬理刺激で誘導されたSpH蛍光強度変化を記録でき、単一ニューロンの場所により開口放出頻度・持続時間等が異なることが示唆された。またgnrh3ニューロン特異的にnpy-phluorin を発現するトランスジェニックメダカについてはF1個体が複数得られており、系統化を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ニューロンの興奮性や神経伝達を調節(神経修飾)する神経ペプチドを産生するニューロンは脳内で散在しており、その効果が代謝型受容体を介した間接的なものであるために、単一ニューロンレベルでの入出力関係がよく明らかになっていない。本研究ではGnRH3ペプチド産生ニューロン特異的に蛍光開口放出センサータンパク質を発現するトランスジェニックメダカを作製し、脳内における神経ペプチド放出の時空間動態をイメージングにより明らかにすることを目指した。 GnRH3ニューロン特異的に蛍光開口放出センサータンパク質(シナプトフルオリン;SpH)を発現するトランスジェニックメダカを作出し、同胚~稚魚をまるごと、もしくは個体から脳を取り出した全脳in vitro標本を用いて正立落射蛍光顕微鏡によるSpH蛍光強度変化のライブイメージングを行った。また神経ペプチドを含む有芯小胞の開口放出を特異的に検出するため、神経ペプチドY (NPY)とpH感受性蛍光タンパク質 (pHluorin)の融合タンパク質をGnRH3ニューロンで発現するトランスジェニックメダカ作出を試みた。 受精後3~5日胚および孵化直後の稚魚を使用してイメージングを行ったところ、in vivoでは蛍光が弱くSpH蛍光強度変動を検出することが困難であったが、全脳in vitro標本を用いた実験ではGnRH3ニューロン細胞体および軸索において自発的、および薬理刺激で誘導されたSpH蛍光強度変化を記録でき、単一ニューロンの場所により開口放出頻度・持続時間等が異なることが示唆された。またgnrh3ニューロン特異的にnpy-phluorin を発現するトランスジェニックメダカについてはF1個体が複数得られており、系統化を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
gnrh3:npy-pHluorinメダカとgnrh3-SpHメダカで得られる結果と比較し、神経ペプチド放出特異的な放出動態を明らかにする。また最近、孵化直後の稚魚ではGnRH3ニューロンの活動が成魚と異なっており、神経ペプチド放出を頻繁に行う可能性の高い発火活動を示すことが報告された。そこで稚魚期のgnrh3:SpHメダカ脳を用いてニューロン特異的な刺激やイメージングと自発発火活動の同時記録を行い、GnRH3ニューロンがその神経線維を投射する嗅球や視蓋に着目して、ペプチドニューロン局所におけるペプチド放出動態を明らかにしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
トランスジェニックメダカの系統化が年度中盤に完成し、また系統樹立後の機能解析実験のために必要なイメージング機器もとりあえずは新たな購入の必要が無かったため。今後、標的となる神経細胞に対する薬理刺激や局所的な電気刺激の実施のためにはマニピュレータなどの購入が必要となるため、それらに充当する予定である。
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