研究実績の概要 |
本年度は、前年度に実施したニワトリ・ヒナのにおける新規分泌性小タンパク質NPGL及びNPGLの研究結果をまとめ、3報の学術論文として発表を行った(Shikano et al., Gen Comp Endocrinol., 2018, Shikano et al., Sci Rep., 2018, Shikano et al., Gen Comp Endocrinol., 2018)。これらの論文の中で、①NPGMはニワトリの脳内ではなく、皮下に投与した場合においても体重を増加させること、②NPGLとNPGMはニワトリ・ヒナの脳内において同じ領域に発現しているが、発達段階によってその発現が異なること ③NPGLをニワトリの脳室内に慢性投与すると脂肪が蓄積する等を報告した。 また、平成29年8月から平成30年9月までアメリカのカリフォルニア大学バークレー校のBentley博士の研究室にて研究を行った。当初、野鳥であるススメ目のキンカチョウの成鳥を用いて実験を行う予定であったが、キンカチョウは季節繁殖を行わないということから、ハムスターに対象を移した。ハムスターはSyrian hamsterとSiberian hamsterの2種類を用いた。まず、これら2種類のハムスターにNPGL及びNPGMが存在しているのかデータベースが公表されているSyrian hamsterにおいて解析を行った。その結果、NPGLは存在しているが、NPGMは見つけることができなかった。次に、縮重プライマーを用いてSiberian hamsterのNPGLを探索し、遺伝子配列を決定した。現在、長日から短日条件にした際に体重変動が見られないSyrian hamsterとその体重が大きく減少するSiberian hamsterにおいて、NPGLの遺伝子発現がどのように変化するのか実験を行っているところである。
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