研究課題
本年度は、新規視床下部分泌性小タンパク質であるNPGLについてニワトリでの研究を進めた。特に、前年度から進めていたニワトリ・ヒナでのNPGLによる脂肪蓄積作用の論文投稿に関する再投稿へ向け、追加実験を行った。その結果、無事に受理・掲載された。具体的な研究内容は、ニワトリの脳室内にNPGLを2週間慢性投与し、体重増加量、摂食量、飲水量、脂肪蓄積量を解析した。内臓脂肪、皮下脂肪に加え、肝臓でも脂肪蓄積が認められた。NPGLが脂肪蓄積作用を示すというデータはラットでは得られていたが、鳥類のニワトリでも同様に得られたことは系統発生学的にも意義深い成果であると考えている。一般的に、哺乳類と鳥類の結果は相反する結果が得られることが多いが、NPGLの脂肪蓄積作用に関しては共通した効果であると思われる。研究期間全体を通じての成果であるが、まず、ニワトリのヒナでは孵化後の成長期では頭蓋骨の急速な増大が問題となり、脳室内慢性投与法が確立されていなかった。NPGLの慢性的な効果を見るためにはこの慢性投与が必要不可欠であり、試行錯誤の末、方法を確立できた。さらに、ニワトリのみならず、スズメ目のキンカチョウでのNPGL遺伝子のcDNAクローニングを行った。さらに、哺乳類のシリアンハムスターやシベリアンハムスターでの遺伝子探索も進めた。また、生理的な発現変動を調べる目的で、シベリアンハムスターにおいて短日条件下で視床下部のNPGL発現が低下することを見出した。このことから、NPGLが季節に応じた脂肪蓄積及び体重変動に関係していることが示唆された。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
J. Endocrinol.
巻: 244 ページ: 1-12
doi: 10.1530/JOE-19-0112.
Front. Endocrinol.
巻: 10 ページ: 392
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