研究課題
基盤研究(C)
研究代表者は、ナメクジが示す負の光走性(光から逃げる性質)の神経機構を調べている過程で、偶然にも、触角先端部にある眼を左右とも切除されたナメクジでも光から逃げる行動を示すことを見出した。詳細な解析の結果、ナメクジは頭部で光を感知する能力があることが電気生理学的に見出され、また脳に複数種類のオプシン(視物質タンパク)を発現していることも分かった。本研究により、ナメクジは両眼を失った場合でも、脳を光センサーとして用いることで、明るい場所を避ける行動が可能であることが強く示唆された。
分子神経生物学
ナメクジは負の光走性、つまり明るい場所を避け、暗い場所へと移動する性質を持つ。本研究では、ナメクジが両眼を失っても負の光走性を示すことを示し、その際に用いられている光センサーが脳に存在することを強く示唆するデータを得た。本研究は、明るい場所を避けることがナメクジにとって如何に重要であるかと示したと同時に、動物が持つ光感知システムの多様性の一端を明らかにした。