前年度までは、独自の手法とプログラムを用いたバイオインフォマティックス解析を行って前年度までは、独自の手法とプログラムを用いたバイオインフォマティックス解析を行って来たが、解析の根幹部分に問題点がみつかり、成果発表に支障がある可能性が判明した。関連して、当該解析を依頼していた海外研究室との共同研究の継続が困難になったことを受け、オーソドックスな手法による解析を業者委託した。 まず、これまでに得られていた網羅的な遺伝子発現プロファイルに対して、定番の3つの解析手法を適用し、ARSER法を採用して以降の解析を進めることにした。 まずは、若齢サンプルも老齢サンプルも8クラスタに分類するのが最も適切と判断された。各クラスタは100から200個の遺伝子で構成されていた。これとは別に、若齢群および老齢群のいずれかで周期性が検出されたものについて、遺伝子毎に若齢での発現時系列と老齢での発現時系列を連結した場合には10個のクラスタが検出された。ヒートマップ表示から、これらは若齢から老齢への遺伝子発現変化を反映したものと考えられた。さらに、若齢・老齢別に発現のピーク位相によって6クラスタへの分類も試みた。この分類法は、周期的発現パターンの相似性による分類と言える。 続いて若齢・老齢別の8つのクラスタ毎にGO 解析とKEGG解析、さらに遺伝子の上流に共通して存在するモチーフ検索を行った。また、若齢・老齢別に発現パターンに着目した6クラスタについても同様の解析を行った。その結果、クラスタに特徴的な遺伝子機能が存在している事、クラスタ内にそのクラスタに含まれる遺伝子群の上流域に結合する転写因子が含まれている事がわかった。以上の結果には、若齢群と高齢群で共通点と相違点が存在していた。すなわち、加齢によって生じる周期的遺伝子発現の第一因となる候補遺伝子を同定できたと考えている。
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