研究課題
進化的に保存された核因子Rif1は、遺伝子間に存在するグアニン4重鎖(G4)構造を認識・結合し染色体ドメイン構造を制御することにより複製タイミングを規定することを見出した。本研究では、Rif1とG4構造の相互作用を生化学的に詳細に解析するとともに、Rif1とG4相互作用が染色体高次構造を制御するメカニズムを解析した。これまで、分裂酵母Rif1は、N末端 HEAT repeat構造及びC端にG4結合ドメインを有すること、C端91aaのみで多量体を形成することを見出した。Rif1は、パラレル型のG4に高い親和性で結合する。また、多量体を形成したG4に選択的に結合する。さらに、in vitroで複数個のG4構造に同時に結合できることを示した。これらのdataに基づき、Rif1また、hsk1変異をバイパスする2種類の点変異体(複製起点活性化抑制能の変異)を同定した。L848S変異は、ChIPアッセイにより染色体Rif1BSへの結合能が減弱していたが、R236H変異は、Rif1BS(結合部位)への結合は正常であった。従って、クロマチン結合のみでは、複製活性を抑制できないことが明らかである。Rif1BSはオープンクロマチン領域に存在するが、Rif1BS内のG4形成配列の変異によりクロマチン構造が復活する。このことは、クロマチン上でのG4形成が、ヌクレオソーム形成を阻害し、オープンクロマチンの形成に必要であることを示す。細胞内でのG4形成を検証するため、G4構造上に存在する一本鎖loopを標的として制限酵素を用い、G4形成を調べる新規技術を開発した。
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Molecular and Cellular Biology
巻: 39 ページ: -
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Journal of Biological Chemistry
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