研究課題/領域番号 |
16K07463
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
高野 敏行 京都工芸繊維大学, 昆虫先端研究推進センターショウジョウバエ遺伝資源研究部門, 教授 (90202150)
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研究分担者 |
都丸 雅敏 京都工芸繊維大学, 昆虫先端研究推進センターショウジョウバエ遺伝資源研究部門, 助教 (70324720)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 超保存配列 / 遺伝子発現制御 / エンハンサー / サイレンサー / ショウジョウバエ |
研究実績の概要 |
セキツイ動物間で高度に保存された超保存配列の機能と相互作用因子を明らかにするため,ヒト超保存配列とGAL4遺伝子との融合遺伝子を組み込んだ組換え体ショウジョウバエを約400系統作製し,44種の配列についてエンハンサー活性を調査した.調査したすべての配列で胚あるいは3齢幼虫のひとつ以上の組織において活性が認められた.これはヒト由来の配列がショウジョウバエという異種の遺伝的背景のもとでエンハンサー活性を示すことができたと同時に,このアッセイ系がエンハンサー活性を調査するうえで非常に有効であることを示している.さらに,3齢幼虫において,ほぼすべての配列が脳をふくむ中枢神経系組織で発現を誘導したことから,超保存配列と脳の遺伝子発現制御との関連が示唆される. 上記の解析ではショウジョウバエの人工プロモーターを用いている.プロモーターとエンハンサーとの相互作用の有無を探るため,先に解析した44種の配列から,特に興味深いエンハンサー活性を示した11種を選び,新たに4種のショウジョウバエのコアプロモーター(hsp70,Ddc,en,h)との組み合わせで活性を調査した.人工プロモーターを含め,これら5種のコアプロモーターは数種のコアプロモーター因子の有無において,すべて異なる構造をもつ.解析した11種中の10種の配列が複数のプロモーターで,うち3種の配列は5種のプロモーターすべてで共通のエンハンサー活性を示した.これらの配列はプロモーター種に依存しない強固な発現誘導能をもつといえる.一方で,複数の配列でプロモーター依存のエンハンサー活性が認められた.場合によってエンハンサーだけでなく,本来のプロモーターとの組み合わせで活性を調査する必要があることを示唆する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
サイレンサー活性のアッセイ系の構築を目指し,even skipped(eve)遺伝子のstripe 2 エンハンサーをケーススタディとして,アッセイ系統を作出した.しかし,これまでのところサイレンサー活性は検出できていない.
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今後の研究の推進方策 |
サイレンサーアッセイについてレポーター遺伝子の変更,Polycombグループなどの結合部位を含んだ領域などポジティブコントロールの精査,追加が必要となる.
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