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2017 年度 実施状況報告書

塩基の並びだけでは読み解けないヒト超保存配列が共有する構造と機能の発見

研究課題

研究課題/領域番号 16K07463
研究機関京都工芸繊維大学

研究代表者

高野 敏行  京都工芸繊維大学, 応用生物学系, 教授 (90202150)

研究分担者 都丸 雅敏  京都工芸繊維大学, 応用生物学系, 助教 (70324720)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード超保存配列 / 遺伝子発現制御 / エンハンサー / サイレンサー / ショウジョウバエ
研究実績の概要

セキツイ動物間で高度に保存された超保存配列の機能と相互作用を明らかにするため,ヒト超保存配列とGAL4遺伝子との融合遺伝子を組み込んだ組換え体ショウジョウバエを約400系統作製し,44種の配列についてエンハンサー活性を調査した.調査したすべての配列で胚あるいは3齢幼虫のひとつ以上の組織において活性が認められた.これはヒト由来のゲノム配列がショウジョウバエという異種の遺伝的背景のもとでエンハンサー活性を示すことができたと同時に,このアッセイ系がエンハンサー活性を調査するうえで優れて,有効であることを示している.さらに,3齢幼虫において,ほぼすべての配列が脳をふくむ中枢神経系組織で発現を誘導したことから,超保存配列と脳の遺伝子発現制御との関連が示唆される.
FANTOMプロジェクトにおいて両方向性の転写物(eRNA)の有無から41の器官・組織のヒトエンハンサー候補配列が同定されている.これまでの超保存配列のショウジョウバエ細胞での発現誘導能との比較のため,ヒトの脳のエンハンサー候補2配列と精巣エンハンサー候補2配列,合計4種の配列を5種のコアプロモーターとの組み合わせでエンハンサー活性をショウジョウバエで調査した.精巣エンハンサー候補の1配列を除く3配列で脳および腹部神経節でエンハンサー活性を示した.一方,いずれの配列も,いずれのプロモーターとの組み合わせでも精巣での発現誘導能は認められなかった.興味深いことに3配列の脳での発現に類似のパターンが認められた.異なる配列であっても共通因子が働いている可能性を示唆する.今後,この一般性を検証するとともに,超保存配列との発現比較をおこなう必要がある.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

エンハンサー活性だけでなく,サイレンサー活性についても調査することを計画したが,コンストラクトが長くなるために作成に時間を要しただけでなく,一様に,広く発現を誘導する遍在プロモーター下でQF遺伝子を発現する組換え体の作出に手間取っている.機能的なレポーター分子(GFP)の発現が胚では遅れることから,今後は幼虫期での発現観察に集中すべきであろう.

今後の研究の推進方策

FANTOMで同定される組織特異的エンハンサーと超保存配列との脳での共通発現の有無の検証を進め,共通作用因子同定につなげる.幼虫の脳あるいは成虫原基でのサイレンサーアッセイ系を確立,超保存配列の調査につなげる.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 オープンアクセス 2件、 査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Frequencies of chromosomal inversions in Drosophila melanogaster in Fukushima after the nuclear power plant accident.2018

    • 著者名/発表者名
      Itoh M, Kajihara R, Kato Y, Takano-Shimizu T, Inoue Y
    • 雑誌名

      PLoS ONE

      巻: 13 ページ: e0192096

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0192096

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Selective breeding and selection mapping using a novel wild-derived heterogeneous stock of mice revealed two closely-linked loci for tameness.2017

    • 著者名/発表者名
      Matsumoto, Y., Goto, T., Nishino, J., Nakaoka, H., Tanave, A., Takano-Shimizu, T., Mott, R. F., and Koide, T.
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 7 ページ: 4607

    • DOI

      10.1038/s41598-017-04869-1

    • オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] 先端昆虫モデル研究拠点ではじめる生物横断研究2018

    • 著者名/発表者名
      高野敏行
    • 学会等名
      久留米大学医学部 Grand Round Seminar
    • 招待講演
  • [学会発表] ショウジョウバエで何ができる? 生物横断研究のハブとなる先端昆虫モデル研究拠点2018

    • 著者名/発表者名
      高野敏行
    • 学会等名
      第1回 IRUD-Beyond モデル生物 国際シンポジウム モデル生物を用いた希少、未診断疾患へのアプローチ
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] ショウジョウバエ父性効果遺伝子の解析2018

    • 著者名/発表者名
      白神真知、中塚三保子、宮崎友、都丸雅敏、Tim Karr、高野敏行
    • 学会等名
      2017年度生命科学系学会合同年次大会 第40回日本分子生物学会年会・第90回日本生化学会大会
    • 国際学会 / 招待講演
  • [図書] バイオテクノロジーシリーズ ― AI導入によるバイオテクノロジーの発展 Development of Biotechnology by the Introduction of AI2018

    • 著者名/発表者名
      植田充美 監修/高野敏行他36名
    • 総ページ数
      234
    • 出版者
      シーエムシー出版
    • ISBN
      4781313159

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公開日: 2018-12-17  

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