研究実績の概要 |
ヒドラの特定の系統(J10) は自然状態でクロロコッカムとの共生しており、その共生クロロコッカムが水平伝播によって非共生状態のヒドラの特定の系統(105系統、SW系統など)に感染し、持続的な共生関係を築き、それによって宿主のヒドラの形質が変化するという内容をまとめた論文(Miyokawa R., Tsuda T., Kanaya H. J., Kusumi J., Tachida H., and Kobayakawa Y. (2018) Horizontal Transmission of Symbiotic Chlorococcum sp. Between Hydra Strains. Biol. Bull. 235, 113-222.(査読有り))が発行された。 この、共生の初期段階にあると考えられるヒドラとクロロコッカムの共生に関わる宿主側の遺伝子発現の変化を、非共生状態のヒドラ(105系統)とクロロコッカムとの共生状態にあるもの(105G系統)との間でのトランスクリプトームの網羅的比較によって解析しその内容をまとめつつあるが、途中経過を日本動物学会第 89 回大会において「ヒドラにおける共生クロロコッカムの水平伝播と遺伝子発現変動解析(御代川、津田、金谷、楠見、舘田、小早川)」として発表した。 また、安定的な共生であるグリーンヒドラ/クロレラの系を用いて、2 系統のグリーンヒドラに共生しているクロレラを入れ換え、本来の宿主が異なるクロレラが新たな別系統の宿主にどのような影響を及ぼすのか、特にその増殖と有性生殖(卵形成)の頻度に着目して実験・観察を行い、その結果を第20回日本進化学会において「グリーンヒドラとクロレラの共生関係の特異性について(御代川、戸川、 山口、 楠見、小早川)」として発表した。現在は、RNASeqによる遺伝子発現の比較解析を進めている。
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