研究課題
1. ゲノム・トランスクリプトーム情報整備計画通りクレオリマックス、アベオフォルマ、コラロキトリウムのゲノム決定を行うことができた。それに加え、イクチオスポレア綱に属するピルムとスフェロフォルマのゲノム決定も行うことができた。既に作出が完了している各種トランスクリプトームデータと合わせ、論文の執筆を行った(スペインRuiz-Trillo博士との共同研究)。2. 動物多細胞化遺伝子の機能解析最も困難と思われたコラロキトリウムへの遺伝子導入実験に成功した。現時点では導入効率は非常に低く、「たまたま」入ったようなレベルではあるが、重要な第一歩であることは間違いなく、今後この効率を上げていくよう実験を続ける。各遺伝子の機能解析については、計画通りカプサスポラのNotch様遺伝子、チロシンキナーゼSrcの過剰発現表現型の解析に加え、NotchのリガンドであるDeltaや、数種類の細胞外マトリクス様遺伝子の解析も行うことができた。また、ライブマーカーコンストラクトについては、予定通り核、小胞体、ミトコンドリア、アクチン繊維、微小管へのマーカーを整備することができた。2年目以降の計画ではあるが、TALEN法によるゲノム編集にも着手することができた(広島大学との共同研究)。まだゲノムの改変には成功していないものの、対象のモデル生物にTALEN法を適用する際にはいくつか注意すべき点があることがわかり、それらに対応した条件設定や技術開発を行うことができた。
1: 当初の計画以上に進展している
ほぼ計画通りの成果を挙げられたことに加え、ゲノム解読や遺伝子機能解析については計画した以上の解析を進めることができた。特にコラロキトリウムへの遺伝子導入実験については、相当困難であると考えていたが、学生の頑張りにより遺伝子を導入することができた。
カプサスポラについては大きな問題はないものの、もう一方のモデル生物クレオリマックスへの遺伝子導入効率の悪さが、計画を進めるうえでの大きな障壁となっている。解決策としては、新しいエレクトロポレーター(NEPA21)の導入を考えている。NEPA21は、ケイソウなどこれまで遺伝子導入が困難であった種にも実績があり、また条件設定の自由度も高いため、現在使用しているNEONよりも導入効率を上げられる可能性がある。また今回大きな成果として挙げたコラロキトリウムへの遺伝子導入技術についても、現時点ではその効率は非常に低く、実際に遺伝子機能解析に使用できるレベルには至っていない。これに関してもNEPA21の使用により解決できないかどうか検討する。
大学内共通機器として購入された物品があったため。
研究の進展に伴い、消耗品への支出を増加させる。特に抗体作成などに充てて更なる研究の発展を図る
すべて 2016 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
J Life Environ Sci
巻: 8 ページ: 1-12
J Cell Physiol
巻: 231 ページ: 2493-2505
10.1002/jcp.25362
http://www.pu-hiroshima.ac.jp/~hsuga