研究課題
1.ゲノム編集法の確立単細胞ホロゾアでゲノム編集法を確立することは、本研究課題でもっとも重要な目標である。クレオリマックス細胞やカプサスポラ細胞で実際にゲノム編集を起すことには成功していないが、その実現に向けた重要な研究成果が得られた。まず、single strand annealing assay(SSA)法により、カプサスポラ細胞内でDNAの切断が意図したとおりに起きることを確認した。すなわち、zinc finger nuclease(ZFN)タンパク質、TALENタンパク質双方が、カプサスポラ細胞内で標的配列を特異的に切断すること、そしてその後DNAが相同性組み換えを利用して修復されることを確認した。クレオリマックス細胞においても同様の結果が得られた。更にクレオリマックス細胞においては、強い相同性組み換え能の存在を示す証拠が得られた。これを利用して、簡便な遺伝子ノックイン法を確立できる可能性がある。2.単細胞ホロゾアが持つ「多細胞的な」遺伝子の機能解析遺伝子機能解析の基盤となるゲノム配列をリシーケンスし、品質の高いゲノム配列を作出し論文に出版することができた。カプサスポラの持つラミニン遺伝子の機能解析については、予定通り抗体の作成を終え、現在タンパク質レベルの機能解析を行っている。また、カプサスポラの持つNotch遺伝子については、動物のNotch遺伝子とよく似た分子機能を発見することができた。さらに、細胞の置かれた環境によって特異的に発現する遺伝子(これらは多細胞性進化と関連している可能性がある)のスクリーニングを行い、予測した通り、いくつかの「多細胞的な」遺伝子は環境の変化に応じて働き方を変えているという結果が得られた。これらの結果は、単細胞ホロゾアの持つ「多細胞的な」遺伝子が、危機的な環境をやり過ごすための危機避難機構に関わっているのではないか、という仮説に合致するものである。
すべて 2018 その他
すべて 国際共同研究 (5件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
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http://www.pu-hiroshima.ac.jp/~hsuga/