研究課題
(1)TSHb2の下垂体-性ホルモンフィードバックにおける機能の解析|これまでの研究から、短日条件下での海型の高いTSHb2発現量は、性成熟や成長、神経発生に対して多面的な機能を持つことが分かってきた。一般的に性成熟の制御において、下垂体から分泌される性腺刺激ホルモンと生殖腺から分泌される性ホルモンにはフィードバック機構があることが知られ、海型イトヨではそのフィードバックの方向が短日条件だと抑制的、長日条件だと促進的に切り替わることが知られていた。そこで、そのフィードバック機構におけるTSHb2の機能を調べるために、TSHb2ノックアウトとコントロールの下垂体を短日条件化で培養し、性ホルモンを投与して、性腺刺激ホルモンの発現量が変動するかどうか検証した。すると、TSHb2ノックアウトでは、性ホルモンの投与に対して性腺刺激ホルモンの発現量が上昇したのに対し、コントロールではその上昇が見られなかった。これは、短日条件下での高いTSHb2発現量が、性腺刺激ホルモンと性ホルモンの促進的なフィードバックを抑えることで、性成熟が起こらないように機能していることを示している。(2)日本集団を用いたTSHb2発現レベルに対する全ゲノムeQTL解析|これまでの研究で同定した日本集団の淡水型でTSHb2の日長応答性に寄与する19番染色体上の候補ゲノム領域中には36個の遺伝子が含まれていた。そこで、この中で候補遺伝子を絞り込むために、下垂体の1細胞RNAシークエンスとProvean解析を行った。その結果、 BICD1遺伝子が、下垂体でTSHb2と共発現し、且つ、有害である確率が高い候補遺伝子として同定された。(3)欧州集団のTSHb2上流配列の解析|公開されている欧州集団の海型、淡水型の全ゲノム配列を解析すると、TSHb2の上流配列は海型と淡水型で分化していなかった。
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