生き物にとって「いつ繁殖するか」は適応度を左右する重要な形質です。中でも季節に応じた繁殖は、多くの生物種で獲得や喪失を繰り返し、種分化や生物多様性の創出にも貢献してきました。一方で、その重要性にもかかわらず、季節性繁殖の進化がどのような遺伝子の変化によって起こっているのかはほとんどわかっていませんでした。本研究では、日長に応じて繁殖を行う海型イトヨと、日長応答性を失って長い繁殖期間を持つ淡水型イトヨを用いてこの問題に取り組みました。その結果、甲状腺刺激ホルモン遺伝子が、イトヨの季節応答のマスター制御遺伝子として働き、その遺伝子の機能が失われることで、季節性繁殖が進化することが分かりました。
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