研究実績の概要 |
本研究では、これまでに, 福島県の双葉層群(後期白亜紀:8900 万年前)やモンゴルのゴビ砂漠の地層(前期白亜紀:約1 億年前)から発見された「花」「果実」「種子」などの小型化石の内部構造を大型シンクロトロンのX線マイクロCT法により解明し, 被子植物の初期進化過程を解明していくことを目的としている。 これまでにモンゴルのテブシンゴビ(前期白亜紀)から発見した種子をつけていた球果について、シカゴの大型シンクロトロンによるマイクロX線CTで解析したところ、Umkomashia mongolicaであることが分かった。さらに、テブシンゴビから, Umkomashia属の2新種であることが分かり、それぞれ、U. corniculataとU. trilobataと命名した。これらの植物化石は、Corystospermと近縁であり、イチョウ目や球果類と類似の軸構造であったことを示しており、種子植物全体の進化の理解を深めるのに意義深い発見である。 さらに、日本国内から、被子植物の白亜紀の花化石が含まれている新たな地点を発見し、そのサンプリングと堆積岩のクリーニング処理を行い、一部の炭化化石のソーテングをやった。その結果、被子植物の種子や果実の化石が含まれていることを確認した。その中から、2019年3月に、約1mm前後の花化石の可能性のある小型植物化石をシカゴの大型シンクロトロンでマイクロCTによる撮影を実施し、1サンプルあたり2560x2560の2200ピクセルの10サンプル分の32bitのTiffデータを得ている。今後、数か月かけて、これらのCTデータを3Dレンダリング解析を行い、これらの興味深い植物化石の内部の3次元構造を解明している予定である。
|