• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2016 年度 実施状況報告書

ゼンマイ科の系統と系統的遺存種ヤマドリゼンマイの進化

研究課題

研究課題/領域番号 16K07495
研究機関独立行政法人国立科学博物館

研究代表者

堤 千絵  独立行政法人国立科学博物館, 植物研究部, 研究主幹 (30455422)

研究分担者 矢部 淳  独立行政法人国立科学博物館, 地学研究部, 研究主幹 (20634124)
角川 洋子  首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (70575141)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード系統的依存種 / 系統 / RNASeq
研究実績の概要

ゼンマイ科は最も原始的な薄嚢シダで、起源はおよそ3億年前にさかのぼる。中でもヤマドリゼンマイは核サイズや形態が古来よりほとんど変化していない“生きた化石(系統的遺存種)”であることが知られる。本研究では、次世代シーケンサーなどを用いて、以下2つの解析を行う。1. ゼンマイ科の大規模な遺伝子解析を行い、ゼンマイ科の系統進化を推定するとともに、本科におけるゲノムの安定性が系統的遺存種を生み出したという可能性を検証する。2. ヤマドリゼンマイと形態・生育場所・隔離分布パターンが酷似する系統的遺存種オニゼンマイの集団遺伝学的解析、形態比較、化石の再検討から、両種における類似性は古来より続くのか(祖先形質)、あるいは収斂かを明らかにする。
1の大規模遺伝子解析では、近年さまざまな植物でのトランスクリプトーム解析が実施されており、本研究でもRNA-Seq法によるトランスクリプトーム解析に取り組んだ。若い胞子体からRNAを抽出するため、ヤマドリゼンマイ、オニゼンマイ、ゼンマイ、レガリスゼンマイ、シロヤマゼンマイの胞子培養を行った。胞子体ができたオニゼンマイとゼンマイから、RNAを抽出しRNA-Seq法による解析を行った。得られたデータはスーパーコンピューターを用いて解析した。
2のヤマドリゼンマイとオニゼンマイについては、日本およびアメリカからサンプリングを行った。2種の集団の遺伝学的構造について調査するために、葉緑体や核の一部マーカーについて、一部の集団を用いてシーケンスまで行った。形態比較のため、両種の胞子体を作出した。また、ヤマドリゼンマイやオニゼンマイ、それと類縁と考えられる化石の文献調査を実施した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

大規模遺伝子解析にむけてRNA-Seq法による解析に取り組んでいるが、一部組織より植物体全体の組織からのRNA抽出が最適と考えられたため、若い胞子体からRNAを抽出するため、胞子から培養して受精させ、若い胞子体を作出してきた。オニゼンマイやゼンマイは成長が速く解析できたが、ヤマドリゼンマイや他の種では時間がかかり、今年度は解析できなかったため、やや遅れている。その他はほぼ予定通りに進んでいる。

今後の研究の推進方策

1の大規模遺伝子解析では、ゼンマイ科の代表種を用いて、RNA-Seq法によるトランスクリプトーム解析を行う。胞子培養は継続中で、ヤマドリゼンマイ等も胞子体が大きくなりつつあるため、平成29年度の早い段階でゼンマイ科の残りの種についても解析する。これらのデータを含めて、すでに解析されている他種と、塩基置換速度の比較や、ゼンマイ科の分子系統解析を行う。
2については、アジアにてヤマドリゼンマイとオニゼンマイのサンプリングを行う。収集したサンプルは、サンガー法によるシーケンス解析や、次世代シーケンサーを用いたRAD-Seq法による解析を行い、SNP多型を検出する。得られたデータから、それぞれの遺伝的多様性や集団の遺伝的分化を明らかにする。さらに多型データをもとに多様性の中心や集団サイズの変動、分岐年代推定から両種の進化過程について考察する。化石調査は、主に海外の化石や文献をもとに、ヤマドリゼンマイやオニゼンマイ、類縁種の再検討を行い、出現年代や分布についての知見を得る。

次年度使用額が生じた理由

大規模遺伝子解析のために、胞子培養を行いサンプルの準備に取り組んできたが、ヤマドリゼンマイなど一部の種では成長が遅く、平成28年度中にRNA抽出およびRNA-Seq法による解析ができなかったため、それに関わる予算を繰り越したことによる。

次年度使用額の使用計画

現在、ヤマドリゼンマイなどの胞子体ができつつある。平成28年度分の予算で、残りの種のRNA抽出および解析や、適宜、追加解析を行う。その他については、実施計画にそって進める予定である。

URL: 

公開日: 2018-01-16  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi