社会性昆虫であるハクウンボクハナフシアブラムシにおいて、コロニーの分業体制を支える表現型多型(階級/モルフ分化)の制御に関与する環境要因を特定し、季節に応じて各階級・モルフの比率が適応的に制御されるメカニズムについて、「母性効果」の役割に着目して調べた。その結果、本種の階級/モルフ分化の制御には3つの環境要因(密度・日長・温度)が複合的に働き、特定条件の組合せで兵隊階級や有翅モルフ(有翅産性虫)が排他的に分化誘導されることがわかった。また、親・子世代を様々な環境条件下で育て、子の階級やモルフを観察することで、母親の受けた環境条件が「母性効果」として働き、子の表現型に反映されることを確認できた。
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