南関東の丘陵・山岳地の温帯域の天然林において、代表的な樹木種を対象に、主に地形上の位置と関連する環境傾度上の分布位置や形質を調べ、それらの系統的保守性について解析を行った。集水域全域を対象としたニッチ解析から、一般に植物の成長に好適-不適な傾度上の位置には系統的な保守性があり、一方地表の撹乱傾度上での位置は比較的最近派生的に決まったことが示唆された。谷付近の撹乱地に分布する種群は東アジア固有型の地理的分布傾向を持つ傾向があった。以上のようにマクロスケールでの地形発達や植物進化が、局所的な樹種配列に反映されている実態に迫ることができた。
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