日本に定着している侵入種シグナルザリガニは、3つの創始集団(北海道、長野、滋賀)から構成され、うち北海道由来の集団では、侵入年の新しい集団ほど鉗脚が大型化している。大型の鉗脚を持つ個体は攻撃性が強いことが想定される。本研究では、室内実験を通じて、「侵入年の新しい集団ほど攻撃的で活発である」という仮説を検証した。創始集団(摩周湖)と、二次侵入集団(然別湖、洞爺湖、片桐ダム湖)を対象として行動実験を行った結果、攻撃スコアや、接近数、活発さは、いずれも二次侵入集団で高い傾向が認められた。以上より、日本に導入されたシグナルザリガニは、二次侵入に伴い攻撃性や活発さといった行動形質が変化したと考えられる。
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