研究課題/領域番号 |
16K07517
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
宮崎 祐子 岡山大学, 環境生命科学研究科, 助教 (20443583)
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研究分担者 |
丑丸 敦史 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (70399327)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 性決定 / 植物繁殖生態学 / 資源制限 / 網羅的遺伝子発現解析 / 雄性両全性同株 |
研究実績の概要 |
雌雄の単性花をつける植物における個々の花の性表現決定は、個体内性比を決め、適応度に影響する重要な繁殖戦略である。個体内の資源量に依存して可塑的に花の性表現決定を行う植物では、個体の資源量(=個体サイズ)と性表現の相関が見出されているが、性決定の制御機構は未解明である。本研究では、資源に依存した可塑的な性表現決定機構、すなわち、個体内資源量が性表現制御のシグナルとして作用し、両性花および雄花を誘導する制御機構について、雄性両全性同株であるツユクサを用いて明らかにすることを目的とした。 1、施肥実験:ツユクサ幼個体を神戸市より採取し、岡山大学農学部圃場の温室内でポットを用いて栽培した。窒素(N)およびリン(P)が花生産に与える影響を調べるため、NおよびPを組み合わせた施肥処理(N区、P区、N+P区、無処理)を行い、開花から開花終了まで毎日、開花特性:①開花日②花序番号③花序内の花の位置④性表現⑤結実の有無について記録した。解析の結果、全ての項目について、NとPは正の影響を与えることが示された。一方でNとPの交互作用が負に影響するという結果も示された。各説明変数の係数を用いてNおよびPに対する反応曲線を得た結果、一定量まではNとPが共に作用して正に影響するが、一定量を超えると他方の存在が効果を阻害することが示された。 2、摘花実験:性が決定するまでに要する時間を特定するために花序内で最初に咲く(B1)両性花(自動自家受粉を行い結実が進行する)を開花直後から数時間間隔で摘花し、次に咲く花(B2)の性表現を記録した。その結果、B1の開花から24時間以内にB2の性決定が行われていることが示唆された。 3、網羅的遺伝子発現解析:開花前日に採取した雄花および両性花について、それぞれ3サンプルずつHiseq4000(Illumina)、ペアエンド100bp、1サンプルあたり4GBの条件で解読した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
摘花実験は当初は2年目に行う予定であったが、栽培を順調に行うことができたため、1年目に行うことができた。また、施肥実験による栄養塩類の影響についてもデータを得ることができた。 学会発表は行われる予定であるがまだ論文の公表は行われていない。
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今後の研究の推進方策 |
網羅的遺伝子発現解析についてはシーケンスデータの解析を終了させ、候補遺伝子について検討する。また、温度および日長の影響を排除するため、環境制御室でも栽培を行い、摘花実験による雄花の誘導とサンプリングを行う。成果のまとまったものから順次論文として公表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度に十分な研究打ち合わせを行っていたため、スタート時に改めてキックオフミーティングを開く必要がないと判断し旅費に余裕が生じた。また、供試植物の栽培に要する器具類を一部譲り受けたため、物品費に余裕が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
当該助成金は翌年度の研究費と併せて環境制御室での栽培実験や遺伝子発現解析に用いるだけでなく、中間報告会の実施などに使用する。
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備考 |
研究科のプロジェクト紹介ページ。
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