研究課題
これまでに採集したフタイロカミキリモドキの個体群(南西諸島および本州・九州・四国)のうち,特に形態が大きく異なる奄美群島のものを除く19個体群における形質サイズと緯度の関係および雌雄の形態の相関関係について詳細な解析を行い,論文を作成して発表した(Satomi et al. 2019)。また,性的対立による雌雄の共進化の前提である,「オスの性的ハラスメントがメスにとってコストとなる」点について,雌雄の性比を変えた実験区を作り,メスの寿命への効果を調べたところ,オスに性比が偏った実験区ではメスの寿命が低下することがわかった。系統解析については2016年・2017年に引き続いて解析を行った。解析に用いる外群となる近縁種を変更するとともに,解析についてもさまざまな方法で検討したが,いったん後脚が太くなった個体群から,後脚が細い個体群が派生的に生じていること,また,地理的には近い場所にある個体群どうしが系統的には必ずしも近くないことなど,昨年度までと同じ結果が得られている。同属他種との比較については,キムネカミキリモドキの他に,脚に性的二型がないクロアオカミキリモドキやコアオカミキリモドキについても採集して配偶行動を観察した結果,フタイロカミキリモドキの配偶行動の特性(メスの多回交尾と激しい交尾拒否行動)などが他種とは異なること,この特性の違いがカミキリモドキ近縁種間における形態や行動の大きな違いと関連していることが示唆された。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件)
Ecology and Evolution
巻: 9 (8) ページ: 4949-4957
10.1002/ece3.5101