微生物の空間分布については経験や観察を基にした仮説が存在するが、その検証は進めてこられなかった。本研究では、仮説の域を超えなかった細菌の地理的分布について、データを基にした検証を試みた。世界各地の土壌中よりバチラス属水銀耐性細菌を分離して水銀耐性トランスポゾンを解析したところ、同一のトランスポゾンを持つ同属の細菌が異なる地点間で見つかった。また同一のトランスポゾンが、別の属の細菌より見つかった事から、水銀耐性トランスポゾンがバチラス属細菌間で水平伝播されていることも示唆された。さらに水銀を含む培地での土壌培養によって、各地点の水銀耐性細菌が全て検出可能な量まで増加することを示した。
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