2次埋葬と思われる縄文人骨埋葬例について、人骨表面に残された情報より、埋葬形成過程の復元を試みることを目的とする。具体的には、1:東海地方縄文晩期遺跡にみられる、盤状集骨葬について、2:関東地方の貝塚遺跡にみられる、多数合葬例や廃屋墓について、3:その他地方の2次埋葬例(集合墓、合葬墓、土器棺墓)について、人骨表面につけられたキズ(損傷)と骨表面の(劣化)状態、付着した土壌等マトリックスの成分分析により、人骨のタフォノミーないしは埋葬形成過程に、骨学的にアプローチすることを目的とした。 H31-R1年度は、縄文時代の二次埋葬例である千葉県権現原貝塚の多数合葬人骨と個体埋葬骨について、タフォノミー研究の視点から、埋葬の記載と人骨表面形態の観察を行い、これを愛知県保美貝塚の多数合葬例のデータと比較した。 権現原貝塚と保美貝塚のの多数合葬人骨群の間には、人骨表面の風化度合い、表面の損傷等に違いがあった。一方で、権現原貝塚の多数合葬人骨と個体埋葬骨の間にも程度の違いはあるものの、ある程度の違いが認められている。地域差と埋葬方法(文化)の差が複合的に影響している可能性がある。今後、関東地方の周辺遺跡の人骨との比較を追加することにより、考察を深め、まとめの論文化を考えたい。
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