東海地方縄文晩期の盤状集骨葬(保美貝塚)と関東地方縄文後期の多人数集骨葬(権現原貝塚)の人骨を用い、縄文時代の多人数埋葬例を骨学(タフォノミー)の観点から調査し、保存程度、骨表面の損傷、着色などの観察データを比較した。 保美貝塚の盤状集骨は、成人13体、未成人1体分の人骨から構成され、四肢長骨、頭蓋骨の保存がよい。頭蓋骨には意図的に割られたような損傷が多くみられた。権現原貝塚の多人数集骨は、成人24体、未成人3体分が同定され、破壊の程度が強く、骨の残存率は悪く、骨表面の摩耗度も強い。また、骨表面のキズの付き方が、両遺跡で異なり、さらに頭蓋と四肢長骨の間でもそのパターンは異なっていた。
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