研究課題/領域番号 |
16K07534
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
鍔本 武久 愛媛大学, 理工学研究科(理学系), 准教授 (20522139)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 霊長類 / ニホンザル / 骨形態 / 踵骨 / 距骨 / 化石 |
研究実績の概要 |
一年目である本年度は,文献調査,データ取得(計測値,写真撮影,研究用模型作製,個体情報など),データ検討・予備解析,学会予備発表などをおこなった. ・文献で関連研究や先行研究について再調査をおこない,計測部位や解析手法を再検討して,今後の方針をほぼ決定した. ・京都大学霊長類研究所の骨標本所蔵庫において,距骨・踵骨標本の観察,距骨・踵骨の大きさ(およびその他の部位)の計測,歯の大きさの計測,写真撮影,雌型作製,体重およびその他の情報(年齢・性別など)の取得をおこなった.成獣・幼獣両方の個体を対象とした.計測はデジタルノギスを使用し,購入した小型ノートパソコンにデジタルノギスを接続してデータを直接コンピュータに入力して,データベースを構築していった.コンピュータに入力されたデータは,統計ソフト(JMP)を用いて処理し,計測ミスや入力ミスがないかどうかをチェックして,ミスを修正した.写真はデジタルカメラを用いて撮影し,計測データと対応するようにした上でハードディスクに保存した.研究用模型を作製し,計測値および写真と対応がつくようにして整理した. ・取得データを対象として,統計ソフトやグラフソフトを使ったデータ予備解析をおこなった.幼獣個体の距骨については,形態には雄雌差はないことが示唆されたが,サイズの雌雄差については検討が必要であることがわかった. ・日本古生物学会および日本霊長類学会において,専門家らと本研究についての議論を交わした.また,日本霊長類学会では,これまでのデータを用いた予備的報告(距骨と踵骨からの体重推定:霊長類と様々な哺乳類との比較)をおこなった.踵骨からの体重推定においては,霊長類に対しておよび様々な哺乳類に対して共に「後距骨関節面の幅」が適していることがわかったことを,報告した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,データ取得を予定通り遂行できた.また,専門家らとの議論も十分にでき,学会での予備発表もできた.計測部位や,解析方法については,ふさわしいものを設定できた.このように,予定通り研究は進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
中間の年度である2年目(H29年度)は,データ・比較データの取得,比較標本の雌型・雄型作製,データ解析,学会予備発表などをおこなう. ・データ取得に関しては,基本的に1年目と同じ要領でおこなう.ただし,1年目で検討した最良のデータの種類・取得方法についてのみにしぼり込み,再計測を含めてデータ数を増やしていく.比較データの取得も同様におこなう.国立科学博物館等の国内の研究施設に赴いてデータ取得や議論をする予定であるが,海外の研究施設や学会に行って,比較標本の計測や海外の研究者との議論を行うことも検討している. ・雌型から雄型(エポキシ樹脂)の作製を始め,形態の詳細な比較と変異の検討をする. ・統計ソフト(JMP)・グラフソフト(KaleidaGraph)・表計算ソフト(Excel)でのデータの解析を進める.距骨・踵骨サイズの変異と,距骨・踵骨サイズと歯サイズ・体サイズとの関係性を,雌雄の違いや幼獣・成獣の違いに注目して調べる.計測部位をすべて使ったものと一部を使ったものとで,どのように違いが見られるのかも調べる. ・日本霊長類学会(平成29年7月)や日本古生物学会(平成29年6月および平成30年2月),あるいは国際学会などにおいて前年度に引き続き予備的な結果を報告するとともに,複数の専門家と議論を交わし,アドバイスを受ける予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
データ取得が思ったよりも順調に進んだので,旅費(出張日数および出張回数)が予定よりも少なくなったため.
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次年度使用額の使用計画 |
新しいデータを取得するため,および,比較データの対象を広げるために,2年目であるH29年度に,愛媛大学から比較的遠い国立科学博物館などの国内の研究収蔵施設へ出張してデータ取得することに使用する予定である.さらに,できれば,研究の幅を広げるために,海外の研究施設や学会に行って,比較標本の計測や海外の研究者との議論を行いたい.また,H30年度の予定の研究費が1年目・2年目にくらべてかなり低めなので,3年目に一部をまわして,バランスよく使用する予定である.
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