研究実績の概要 |
Social jetlag(社会的時差ボケ)は、2006年に提唱された新しい概念で、社会的な時間と体内時計の不一致によって生ずる不調をさす。ジェットラグが飛行機などによる時間帯域の急速な移動によって生ずるのに対し、social jetlagは個人の持つ体内時計と勤務スケジュールなど社会要因によって規定される社会的な時計の不一致によって生じるものであり、現代社会に暮らす多くの者が経験する身近な現象である。Social jetlagは、概日リズム変調による心身健康被害の発現が懸念されるが、日本では未だ系統的研究は行われていない。そこで本研究では、わが国のsocial jetlagの実態を把握することを目的として大規模横断調査を実施した。 本邦の市区町村数(約800市・総務省地方自治制度資料参考)、年代(十代から七十代まで七区分)、性別(二区分)の分布を考慮して調査対象者候補を割り付けし、一万人のデータ回収を目標としてウェブ調査を実施した。調査項目は、基本情報(年齢、性別、緯度・経度を情報化するための郵便番号)、ミュンヘンクロノタイプ質問紙日本語版(Munich Chronotype Questionnaire, Roenneberg, et al., J Biol Rhythms 2003; Kitamura et al., Chronobiol Int 2013)、仕事の制約に関する質問票(Work Limitations Questionnaire, Takegami et al., J Occup Health 2014)、主観的眠気(エプワース眠気尺度)、社会経済的要因(職業、シフトワーク従事の有無、勤務時間または就学時間、通勤または通学時間、食事欠食の状況、生体リズムに影響を及ぼす夜間ディスプレイ視聴時間、身体活動)で構成し、設計した。回収されたデータは、下記のとおりであった。男性20代以下n=956、男性30代n=807、男性40代n=917、男性50代n=761、男性60代以上n=1510、女性20代以下n=911、女性30代n=787、女性40代n=902、女性50代n=764、女性60代以上n=1685、総計n=10,000。
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