研究課題/領域番号 |
16K07545
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研究機関 | 明治薬科大学 |
研究代表者 |
駒田 陽子 明治薬科大学, 薬学部, 准教授 (40451380)
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研究分担者 |
岡島 義 東京家政大学, 人文学部, 期限付准教授 (50509867)
高江洲 義和 杏林大学, 医学部, 講師 (90421015)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 社会的ジェットラグ / social jetlag / クロノタイプ / 睡眠 / 時間生物学 / 生産性 / 日中機能 / プレゼンティズム |
研究実績の概要 |
睡眠負債や睡眠の問題がもたらす経済損失は、日本ではGDP比で2.92%にのぼると試算されている。睡眠負債を補うための週末のいわゆる寝だめは日常的にみられる対処法であるが、social jetlagという新たな問題を引き起こす。ヒトの睡眠習慣は体内時計(いつ寝るか)および睡眠恒常性(どれだけ寝るか)によって大まかに決定されている。主要な調節因子である概日リズム周期、光位相反応、必要睡眠時間、睡眠不足耐性などには個人差が大きく、性差や加齢の影響も受ける。一方で、我々が求められている社会時刻は全世代を通じて比較的画一であり、個人の体質にマッチした睡眠習慣は考慮されておらず、フレックスタイム制を導入している企業も5%程度にとどまっている。 本研究では、わが国におけるsocial jetlagの実態を把握すること、social jetlagが欠勤や体調不良にともなう能率低下(アブセンティズムとプレゼンティズム)に及ぼす影響を検討することを目的として1万人を対象とした調査を実施した。その結果、social jetlagの平均は55分で、1時間以上の者の割合は40%であった。年齢が若いほどsocial jetlagは大きく、20代では61%、30代では53%が1時間以上のsocial jetlagを示した。また、クロノタイプ自体ではなくsocial jetlagが仕事の生産性に関連しており、社会の時計と個人の体内時計が合わないことが日中機能の低下を引き起こしている可能性が示唆された。学童期から働く世代における社会時刻と睡眠・体内時計の時刻合わせの現状と、社会的ジェットラグが個人、組織(企業や学校)、社会・コミュニティーに及ぼす影響について検討し、学術誌に成果を公表した。
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