研究課題/領域番号 |
16K07546
|
研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
榎本 みのり 東京工科大学, 医療保健学部, 講師 (60415578)
|
研究分担者 |
北村 真吾 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 精神生理研究部, 室長 (80570291)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 睡眠負債 / クロノタイプ / 睡眠 |
研究実績の概要 |
朝型・夜型のクロノタイプによって睡眠不足の影響を受ける程度に差があり、夜型指向性の強い人は睡眠不足の影響を受けにくいと言われているが、単純に睡眠不足に耐性があるのか睡眠負債を解消しやすいのかどうか明らかにされていない。本研究では強制脱同調プロトコル(forced desynchrony protocol; FDP)という特殊な生理学的手法を用いてクロノタイプおよび概日リズム周期(τ)の違いによる睡眠不足に対する抵抗性および睡眠負債の解消についての機能解明を行うことを目的とした。20~30代の健常男性成人をリクルートして実験を行った。被験者にはMorningness - Eveningness Questionnaire (MEQ)を回答してもらい、クロノタイプを分けた。これまでにクロノタイプ別に断眠に対する睡眠負債の解消について17名を対象に夜間の睡眠脳波周波数解析を用いて解析を行った。中間型ではSWA(slow wave activity)の初期値も高く、睡眠中の早い段階で急峻に減衰しており、夜型ではそれがなだらかであった。就床前よりも起床後で主観的眠気も増加しており、睡眠負債の解消も十分ではないことが考えられたが、位相のずれを共変量にして調整しても統計学的有意な差はみられなかった。これらの結果を第42回日本睡眠学会で発表した。睡眠負債への抵抗性の違いについては、36時間のコンスタントルーチン(constant routine; CR)を行い、CR中に2時間ごとに測定したAlpha Attenuation Test(AAT)のα帯域の周波数解析を行った。AATは1分ごとに合計6分間の開閉眼を測定し、測定中はなるべく起きていること、顔や体に力を入れずに動かないようにするよう被験者に指示した。測定した脳波は2.56秒ごとにFOCUS(日本光電)を用いて高速フーリエ変換(FFT)解析を行い、開眼時と閉眼時のα帯域パワーからAlpha attenuation coefficients(AAC)を算出し、日本生理人類学会第77 回大会で発表する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
クロノタイプ別の客観評価の解析は概ね順調に進んでいるが、メラトニンおよびコルチゾルの解析が完了していないためτを使った解析がやや遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
予定していた日中の睡眠負債への抵抗生の客観評価の解析は順調に進んでいる。合わせて眠気などの主観評価の解析、τの解析を行い、論文にまとめて欧米の雑誌上で発表する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
解析にやや遅れがあり、解析に関わる必要経費が残っていること。学会地が近隣であったため、交通費、宿泊費の精算がなかったこと。 解析の必要経費、学会発表の出張費、論文発表に使用する。
|