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2016 年度 実施状況報告書

植物の生殖細胞系列におけるレトロトランスポゾンの転移機構の研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K07551
研究機関新潟大学

研究代表者

深井 英吾  新潟大学, 自然科学系, 助教 (00570657)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードレトロトランスポゾン / 生殖 / 花粉
研究実績の概要

本研究では、植物の生殖細胞系列において、トランスポゾンが活性化され転移するしくみについて明らかにする事を目指している。そこで、ミヤコグサの生殖細胞系列において高頻度に転移するレトロトランスポゾンLORE1aについて、 (1)LORE1aの転移の時期組織特異性の解析、(2)種間交雑組換え近交系(RI)集団におけるLORE1a活性化の原因の解析、を行っている。今年度の進捗は以下の通りである。
(1)について、 LORE1aのシス配列に、改変GFPタンパク質をコードする遺伝子を連結したコンストラクトを6種類作製し、それぞれのミヤコグサ形質転換体を複数系統ずつ作出した。また形質転換体の解析を開始し、一部の形質転換体の花粉においてGFP蛍光が観察された。
(2)について、LORE1aのアンチセンス転写産物の発現量と、LORE1a活性化レベルの間に負の相関があるか検証した。LORE1aのセンス・アンチセンス転写産物を識別可能なリアルタイムRT-PCRを行い、それぞれの転写量を解析したが、両者に明らかな負の相関は見られなかった。次に、LORE1aが活性化された複数系統で共通して発現レベル変動が見られた2遺伝子を同定した。これらがLORE1aの活性化に関与している可能性を検証するため、これらの遺伝子の変異体におけるLORE1aの転写レベルを解析したが、転写上昇は起こっていない事が分かった。また、LORE1a活性化の再現性を見るために、新たに種間交雑集団を育成しているが、少なくともF2世代においてはLORE1aの転写レベルの上昇は確認されなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

(1)LORE1aの転移の時期組織特異性の解析については、解析に必要な形質転換体の作出等、予定通り進んだ。一方、(2)種間交雑RI集団におけるLORE1a活性化の原因の解析については、2つの可能性について検証できたが、それぞれについて否定的なデータを得たにとどまっており、若干遅れていると考えている。

今後の研究の推進方策

(1)については、形質転換体は多数得ることができたが、GFP蛍光が観察された系統は一部に限られた。形質転換体におけるGFP遺伝子の転写レベルをRT-PCRで解析したところ、全体的に転写レベルは低く、また系統間差異が大きい事が分かった。当初からLOER1aのプロモーターの活性が低い事は予想されていたので、それを増強するコンストラクトの形質転換体も作出したが、期待した効果は得られていない。今後の形質転換体の解析においては、導入遺伝子中のLORE1a配列を標的としたサイレンシングが起きている可能性を考慮する必要がある。また、形質転換体におけるGFPの発現様式が、活性化状態のLORE1aのそれを反映しているのかという点についても留意する。
(2)については、遺伝学的な解析を行う。つまり、種間交雑RI集団において、LORE1aが活性化されている系統群と、活性化されない系統群の間で、遺伝の偏りがあるゲノム領域を探索する。しかしこの解析においては、これまでに同定できたLORE1aが活性化した系統の数が少ない事がネックとなっている。活性化はRI集団の最初期世代ではなく、途中の世代で起きた。そこで、世代間の遺伝的分離に着目した解析により、上記の問題を克服できる可能性があると考えられるので、その為の材料の整備を開始する。

次年度使用額が生じた理由

2016年度科研費の残高に関して、それに見合う単価の使用用途が見つからなかったため、次年度使用する事とした。

次年度使用額の使用計画

2017年度の物品費として利用予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 国際共同研究 (1件)

  • [国際共同研究] Aarhus University(Denmark)

    • 国名
      デンマーク
    • 外国機関名
      Aarhus University

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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