ダイズは主要な畑作物であるだけではなく,ゲノム解読も終わり研究材料としても重要な植物である.しかしながら,シロイヌナズナはもちろんイネやその他の作物と比較して,タグラインなどの実験材料は充実していない.そこで本研究では,野生ダイズ(ツルマメ) 由来のトランスポゾンを用いて,タグライン系統を充実させるとともに,未知有用遺伝子を単離することが目的である.ダイズ野生種 (ツルマメ)の花色斑入り変異体より,アクティブな新規トランスポゾン(Tgs1) が単離された.Tgs1は全長が3.8 kbと比較的短く,ダイズゲノム中でも高い頻度で転移することが明らかになっている.つる性を有するために大規模栽培が困難な斑入りツルマメにダイズ品種を戻し交配し,つる性を除くとともにダイズ並みの粒大と黄色の種皮を持った6000系統のタグラインを育成した.平成29年度は,28年度に単離した変異体系統から3系統の復帰突然変異体を得た.また,花色斑入りで固定した別の系統についてダグラインを育成し,新たな突然変異集団を作成した. 平成30年度は,平成29年度に引き続き花色斑入りで固定した別の系統についてダグラインを育成し,新たな突然変異集団.また,種子斑入り変異体DNAを用いてトランスポゾンタギングを行なったが,現時点で目的遺伝子の同定には至っていない.今後の解析により原因遺伝子の同定が期待される.
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