研究課題
平成30年度では、さらに植物生長促進活性を持つ植物由来物質の探索を行った。その結果、サフランの雌しべから生産されるサフラナール、サンショウの種子やモクレンの花蕾およびヤクチの果実から生産されるβ-ミルセン、ウイキョウやセイヨウウイキョウの種子から生産されるアネトール、ミドリハッカの葉部やイノンドの種子やタラゴンの葉部から生産されるリモネン、ヤクチの果実から生産されるバレンセン、ウイキョウゼリの葉部から生産されるメチルオイゲノール、ハナハッカの葉部と花穂およびヤクチの果実から生産されるp-シメン等にもレタス幼根に対する伸長促進作用があることが明らかとなった。H28年度からH30年度までの報告者らによる探索研究によって見出された植物生長促進物質の中から、さらに候補化合物を選抜し、作用特性や植物種間差異、そして植物成長促進作用のメカニズム等を検討した。その中で、特にγ-テルピネンによる植物伸長促進作用のメカニズムの検討では、γ-テルピネンを処理したレタスの根部で、IAA(オーキシン)のアミノ酸抱合体を加水分解して活性型のIAAを遊離させる働きのあるIAA-amino acid hydrolaseや、細胞壁の弛緩や細胞伸長に関与しているxyloglucan endotransglucosylase/hydrolaseのタンパク質の発現量が増加すること、そしてγ-テルピネン処理後にIAA-amino acid hydrolase遺伝子のうちの1つの発現量が有意に増大したこと、さらにIAAにより生合成が促進されることが知られているエチレンの発生量もγ-テルピネン処理後に増大したこと等から、γ-テルピネンによるレタスでの生育促進作用には、IAA-amino acid hydrolaseの発現増大による活性型IAA量の増加が関与している可能性があることが示された。
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