研究課題/領域番号 |
16K07574
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
加藤 尚 香川大学, 農学部, 教授 (50222196)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | アレロパシー / イネ / イヌビエ / ケミカルコミュニケーション / 根滲出物 |
研究実績の概要 |
イネはイヌビエの根から放出されている物質を感受しモミラクトンの生産と放出量を増加させている.このInfo-chemicalの本体を明らかにすることが本研究の目的である.イヌビエの根から放出されているInfo-chemicalは,今までの予備実験で,水耕栽培で集められることを確認し,昨年度はイヌビエの水耕栽培液からイネのモミラクトン誘導物質Info-chemicalを単離精製できることを明らかにした.そこで,今年度は,イヌビエを無菌的に大量に水耕栽培し,水耕液を集めた.水耕栽培液は,各種のクロマトグラフィーで順次分離した.各クロマトグラフィーでの分離段階ごとに,すべての分離画分のモミラクトン誘導活性を測定した.モミラクトン誘導活性は,分離画分をイネ芽生えに与えて,モミラクトン濃度を測定することで測定できるので,モミラクトン誘導活性のあった画分を次のクロマトグラフィー供することで分離精製した.最終的に,モミラクトン誘導活性を持つ画分は,高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分離した.その結果,モミラクトン誘導活性を持つ画分は2つあることが明らかになった.そのうち1つの物質は,高分解能質量分析,H-NMR,C-NMR,旋光度分析にかけ,それらのスペクトルデータから,モノセリンであることを明らかにした.もう一つは,分離精製した物質量が微量であり,構造解析ができるほどではなかった.そのため,イヌビエ本体から,この物質を集めるために,イヌビエ本体を含水メタノールで抽出し,分離精製を進めている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は,イネはイヌビエの根から放出されている物質を感受しモミラクトンの生産と放出量を増加させている.このInfo-chemicalの本体を明らかにすることが本研究の目的であるが,イヌビエの水耕栽培液からイネのモミラクトン誘導物質Info-chemicalが2つあること,それらの単離に成功した.そのうちの1つは構造解析に成功した.もう1つは収量が少なかったので,イヌビエ植物体から分離を試みている.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,物質の構造解析に引き続いて,Info-chemicalによるモミラクトン生合成誘導機構を検証する.そのために,Info-chemicalsよって影響を受けるモミラクトン生合成遺伝子を検証し,モミラクトンの生合成誘導機構を明らかにしていく.また,Info-chemicalによるモミラクトンの生合成誘導機構が,ジャスモン酸依存型か独立かを検証していく.
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