研究課題/領域番号 |
16K07577
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
石井 康之 宮崎大学, 農学部, 教授 (50211032)
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研究分担者 |
井戸田 幸子 宮崎大学, 農学部, 准教授 (40325733)
西脇 亜也 宮崎大学, 農学部, 教授 (60228244)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ネピアグラス / 矮性ネピアグラス / 条件不利地域 / 口蹄疫埋却地 / 中山間地域 / 周年放牧利用 / 霜枯れ草放牧 / 日増体量 |
研究実績の概要 |
南九州地域の,特に宮崎県児湯郡管内に約100 ha存在する口蹄疫家畜埋却地および全国に約40万ha存在する耕作放棄地を,放牧による畜産利用あるいはバイオ燃料原料などの資源植物利用に活用するため,矮性ネピアグラスに加えて普通型ネピアグラスも活用し,その栽培適応性を検討する必要がある。そこで本研究は,宮崎県児湯郡内の1)口蹄疫家畜埋却地における矮性ネピアグラスの放牧利用における適応性,2)耕作放棄地における資源作物としてのネピアグラス栽培の適応性,3)周年放牧を意図した矮性ネピアグラスの霜枯れ草利用の適応性を検討し,飼料・食料自給率の向上と小規模肉用繁殖牛農家の維持・育成に寄与できることを目指し,以下の課題1~3を実施した。 課題1.口蹄疫家畜埋却地における矮性ネピアグラスの放牧利用の適応性:宮崎県農業大学校に2014年に造成した口蹄疫家畜埋却地において,矮性ネピアグラス草地の霜枯れ草放牧利用を2018年1月に実施し,黒毛和種繁殖牛により十分採食可能であることを確認した。 課題2.耕作放棄地における資源作物としてのネピアグラス栽培の適応性:宮崎県児湯郡都農町に造成した普通型ネピアグラス圃場から12月に収穫したネピアグラスを予乾後粉砕し,ペレット加工が可能であること,ペレット化による発熱量は,木材ペレットには劣るが,資源植物のエリアンサスとほぼ同等の燃料効率を示すことを明らかにした。 課題3.周年放牧を意図した矮性ネピアグラスの霜枯れ草利用:矮性ネピアグラス草地を盛夏期間に2回輪換放牧利用した後,9月上旬以降に秋季休牧・貯草(ASP)し,降霜により霜枯れした約1か月後の12月下旬から翌年2月上旬までの約7週間霜枯れ草放牧が可能であり,黒毛和種繁殖成雌牛の日増体量(DG)には,盛夏期間と霜枯れ草期間に差異がなく,約0.71~0.78kg/頭/日を達成することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
課題1:口蹄疫家畜埋却地における矮性ネピアグラスの放牧利用の適応性については,計画当初に予定していた高鍋農業高校から宮崎県立農業大学校に研究の実施場所を変更したが,放牧利用の研究を開始できたこと,課題2:耕作放棄地における資源作物としてのネピアグラス栽培の適応性については,研究成果をまとめて日中韓草地学会議での発表要旨が受理され,2018年7月に発表予定であること,課題3:周年放牧を意図した矮性ネピアグラスの霜枯れ草利用については,宮崎大学農学部附属住吉フィールドに造成した矮性ネピアグラス草地において,盛夏期間2回,霜枯れ草期間1回の計3回輪換放牧が可能で,黒毛和種繁殖牛のDGには差異のないことが明らかとなったこと,Scopus掲載の国際誌に研究成果を公表できたことから,おおむね順調に進展していると判断された。
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今後の研究の推進方策 |
課題1:口蹄疫家畜埋却地における矮性ネピアグラスの放牧利用の適応性については,宮崎県立農業大学校の放牧利用研究を継続して実施すること,盛夏期間および霜枯れ期間の両者で放牧利用が可能であることを明らかにしたい,課題3:周年放牧を意図した矮性ネピアグラスの霜枯れ草利用については,宮崎大学農学部附属住吉フィールドに造成した矮性ネピアグラス草地の2か年目における周年放牧利用の適応性を検討したい。なお,課題2:耕作放棄地における資源作物としてのネピアグラス栽培の適応性については,当初予定していた研究成果が得られたので,本年度の研究実施は予定していない。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年7月上旬に開催される第7回日中韓草地学会議へ参加するための旅費・宿泊費等に充当することを目的として,繰越を行ったため。
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