研究実績の概要 |
宮崎県児湯郡地域に約100 ha存在する口蹄疫家畜埋却地,全国に約42万ha存在する耕作放棄地を,放牧による畜産利用あるいはバイオ燃料原料などの資源植物利用に供するため,矮性および普通型ネピアグラスを活用し,その栽培適応性を検討した。 1)宮崎県農業大学校に2014年に造成した口蹄疫家畜埋却地の矮性ネピアグラス草地において,2018年1月に霜枯れ草の黒毛和種繁殖牛による採食が可能で,放牧利用できた(未発表)。 2)バイオ燃料の原料に供するため,宮崎県児湯郡都農町の耕作放棄地に普通型ネピアグラス圃場を造成し,12月に収穫した材料を予乾後粉砕し,ペレット加工が可能であること,ペレットの発熱量は,木材ペレットには劣るが,資源植物のエリアンサスとほぼ同等の燃料効率を示すことを明らかにした(Ishii et al. 2018, Proceedings of the Seventh Japan-China-Korea Grassland Conference, 204-205)。 3)矮性ネピアグラスの草量と飼料品質の草冠構造を検討した(Kadwal and Ishii et al. 2016, J. Exp. Biol. Agric. Sci. 4: 688-697)後,周年放牧を意図した利用性の検討として,矮性ネピアグラス草地を夏季生育期間に2回輪換放牧利用した後,9月上旬以降に秋季休牧し,11月下旬の降霜・霜枯れの約1か月後の12月下旬から翌年2月上旬までの約7週間にわたり放牧可能であった。黒毛和種繁殖成雌牛のDGは,両期間で差異がなく約0.71~0.78kg/頭/日を達成した(Kadwal and Ishii et al. 2018, Wulfenia J 25: 140-157)。 以上の通り,ネピアグラスは本地域の畜産利用,バイオ燃料などの資源利用に可能であることが明らかとなった。
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