本研究では、稲苗の低温耐性メカニズムの解明のため、低温耐性に関わる転写産物(RNA)の検出を目指した。低温耐性の弱いインド型稲品種ハバタキと、低温耐性の強い日本型稲品種Arroz da Terraの交配系統の中から、低温下での葉の葉緑素濃度を指標に、低温耐性系統群と、低温感受性系統群を選抜し、苗の転写産物発現量を比較した結果、耐性系統群において、既存のストレス応答遺伝子SPX1、GSTU50が高発現となっていることを明らかにした。また、これらの遺伝子が、多様な遺伝背景を持つ世界稲コアコレクションの系統内においても、その発現量と低温下の葉緑素濃度との間に正の相関を持つことを明らかにした。
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