研究課題/領域番号 |
16K07607
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研究機関 | 九州産業大学 |
研究代表者 |
高橋 芳弘 九州産業大学, 生命科学部, 教授 (20390891)
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研究期間 (年度) |
2016-10-21 – 2020-03-31
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キーワード | ポリアミン / 老化抑制 |
研究実績の概要 |
植物生体内には、ジアミンのプトレッシン、トリアミンのスペルミジン、テトラアミンのスペルミンとサーモスペルミンの4種類のポリアミン類が主として存在しており、これらのポリアミン類は、老化抑制や病原菌に対する防御応答の強化など、植物の様々な生理作用に関わる高機能分子である事が知られている。本研究では、こうしたポリアミンの高機能を切り花や園芸作物の鮮度保持・品質向上へと役立てる事を目的としており、初期の研究では主として切り花であるカーネーションやバラに着目し、老化過程での生体内ポリアミン類の挙動、これらの種での共通点、相違点等を中心的に解析してきた。当該年度では、引き続き切り花のポリアミン合成・分解に関わる酵素遺伝子群の探索を行い複数の遺伝子群を単離したほか、イチゴ果実の成熟・老化過程およびイチゴ葉に病原菌が感染した際の生体内ポリアミン類の大まかな挙動を理解した。また、高感度ポリアミン分析法を用いて複数の農作物の生体内ポリアミン類を調査した結果、上記に示した主要ポリアミンの一種であるサーモスペルミンを保持していない、もしくは極めて生体内蓄積量が低い植物体が存在する事を見いだし、その理由の一つを明示した。さらに、上記に示した主要ポリアミン以外のポリアミン類を保持する植物体が存在する事も明らかとしており、こうした微量に存在するポリアミン類の合成経路および分解経路、さらには、生理作用に関しても詳しく調査中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成30年度自体の進捗状況に関しては概ね順調に進展したと考えている。しかし、本研究課題の採択時期が半年程度遅れた事から、初年度の準備に遅れが生じてしまっており、その遅れを取り戻すまでには至っていない。しかし、1年間の延長申請が認められた事から、当初の研究計画通りの研究が研究期間内に行えるものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
ポリアミンを用いた園芸作物の日持ち試験、生体防御能の強化試験等を行う事で、ポリアミンの効果を明確化する。また、詳細な生体内ポリアミン高感度分析を行った結果これまでに想定していない微量ポリアミン類が複数の植物体から検出されている。そこで現在、こうした微量ポリアミンの合成経路、分解経路、生理作用等に関しても詳細な解析を行っており、こうした部分も研究期間内に明らかとする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 本申請研究の採択時期が約半年間遅れた事により、一部の研究計画を次年度に回さざるを得なかった為、研究初年度から次年度使用額が生じている。また、研究の進展により力を注ぐために予定していた学会参加を見送った事、さらに、研究費を有効に使用する為に必要最低限の消耗品費の購入に努めた結果、未使用額合計が若干増加した。 (使用計画) 採択時期の関係で生じた未使用額に関しては、計画通りの研究を遂行する上で使用する予定であり、節約によって生じた未使用費に関しては、これまでの研究で新たに発見された疑問点を明らかにする為の実験消耗品の購入、成果発表等にあてる予定である。
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