ムギ類赤かび病菌は、ムギに病害だけでなく、カビ毒汚染を起こすことで大きな問題となっている。本菌においては宿主内菌糸伸長能を失った自然変異株0233007が見出されている。連鎖解析の結果、この株の原因変異は第1染色体の約195Kb中にあることが判明し、その領域中に2塩基欠失による読取枠の早期停止が生じているFGSG00739遺伝子が見出された。NADPHオキシダーゼをコードすると推定されているFGSG00739遺伝子を野生株からクローニングして0233007株に導入したところ、宿主内菌糸伸長能の回復が見られた。従って、FGSG00739がムギ類赤かび病菌の宿主内菌糸伸長に関わる遺伝子と判明した。
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