研究課題
本研究は感染生理における最重要課題である過敏感(HR)細胞死のメカニズムを解明する研究である。本研究では、MEK2の構成的活性化(MEK2DD)によるHR様細胞死を抑制する青枯病菌エフェクターを探索し、エフェクターが標的としている細胞機能や因子を同定及び解析することで、課題の解明を試みる。申請者らは、MEK2DDの過剰発現により誘導されるHR様細胞死を、共発現により抑制する青枯病菌エフェクターを複数同定した。これらの中でclone 42を本研究の中心に据えている。これまでの研究により、clone 42は共発現したタンパク質のレベルを非特異的に低下させていることが示された。この現象が転写抑制によるものであるかを確認するため、RT-qPCRを用いた発現解析を行った結果、タンパクレベルの低下は転写抑制が原因であることが明らかとなった。また、clone 42の単独発現においては、明瞭なクロロシスを誘導し、宿主の防御関連遺伝子の発現を増加させることも示されていた。よってclone 42 は、宿主に何らかのメカニズムで認識される可能性が示唆された。clone 42の発現を媒介するAgrobacteriumの菌体数の増減を解析した結果、宿主認識によって誘導される防御応答の影響による菌体数の減少が確認された。以上より、これまでclone 42の病原性と考えられた転写抑制などの機能は、Agrobacteriumの感染効率の低下に起因することが明らかとなった。また興味深いことに、clone 42のC末端欠損変異型では宿主認識によるクロロシスが認められなくなることから、宿主認識にはC末端が重要な役割を担っていることが示唆された。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)
Plant and Cell Physiology
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https://www.ag.kagawa-u.ac.jp/kichimura/