研究実績の概要 |
平成28年度は、まず既にポリガラクツロナーゼ(PG)の外分泌発現系に成功している酵母を用い、タンパク質の精製を試みた。しかしながら、発現タンパク質の量が少なかったことから、タンパク質の結晶化には適していないことが分かった。そこで、大腸菌を用いた内分泌系によるPG発現系の構築を試みた。大腸菌には、BL21(DE3)を、プラスミドにはpET-23bを用いた。その結果、病原性PG(S31PG1)の発現は可溶性、不溶性共に認められず、非病原性PG(S63PG1)は、封入体の形成が認められた。発現の認められなかったS31PG1については、HisタグをC末端側からN末端側に付け換えたことで、封入体の形成が認められた。いずれのタンパク質も封入体は得られたことから、不溶性タンパク質を用いてリフォールディングを行った。リフォールディングは、不溶性タンパク質に6M塩酸グアニジン水溶液(50mM リン酸緩衝液、50mM DTT、pH7.0)を少量ずつ加え、一晩静置後、リフォールディング緩衝液(L-cysteine or cystine in 50mM リン酸緩衝液, pH7.0)で希釈して行った。その結果、S31PG1は、5mM L-cysteine in 50mM リン酸緩衝液 (pH7.0)と5mM L-cystine in 50mM リン酸緩衝液 (pH7.0)を用いて4℃、10倍希釈で活性のあるタンパク質を得ることができた。一方、S63PG1は、0.5mM L-cysteine in 50mM リン酸緩衝液 (pH7.0)と0.5mM L-cystine in 50mM リン酸緩衝液 (pH7.0)を用いて、30℃、10倍希釈の条件で活性のあるタンパク質を得ることができた。このように条件が大きくことなることからも、両タンパク質の構造と性質に大きな違いがあることが予想された。
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