研究課題/領域番号 |
16K07623
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
桑田 茂 明治大学, 農学部, 専任教授 (20328967)
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研究分担者 |
大里 修一 明治大学, 農学部, 専任講師 (30533228)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | キュウリモザイクウイルス / タンパク質-タンパク質間相互作用 / ウイルスRNA複製酵素タンパク質 |
研究実績の概要 |
植物ウイルス複製酵素複合体を標的としたタンパク質-タンパク質間相互作用(PPI)阻害作用のあるペプチドのスクリーニング手法およびPPI阻害の評価技術の開発をおこなう.本年度は,ペプチドライブラリーを用いた標的部位結合ペプチドの取得を試みた.CMVの複製酵素複合体の形成を阻害するために,複合体タンパク質のいずれかに結合するペプチドを取得する必要がある.そこで,以下の4領域を標的とした.標的1は,自己結合することが知られている1aタンパク質のN末端(MTドメイン)領域(219aa),標的2は1aタンパク質のC末端(Helドメイン)領域(258aa),標的3は2aタンパク質のPol領域(241aa)とし,標的4はPol領域をさらに限定してTGxxxTxxNT(NTP結合モチーフ)とPol活性モチーフ(GDD)を含む領域のみとし,それぞれをYeast Two-Hybrid(Y2H)用プラスミドにクローニングをおこなった.続いて,市販のY2H用ランダムペプチドライブラリー (ペプチド長16残基)を用いて,標的1, 2, 3, 4の各領域に結合能を持つ有効ペプチドのスクリーニングを行ったところ,標的1に対しては2種,標的3に対しては2種,標的4に対しては9種類が見出されたが,標的2には結合性ペプチドは見出されなかった.結合性ペプチドのアミノ酸配列を決定するため結合性ペプチドクローンの塩基配列を決定したところ,結合性ペプチドは想定していた16アミノ酸ではなく,インサートがコンカテマーとなって挿入されており,多くは50アミノ酸以上であった.これは16アミノ酸程度のペプチドでは複製酵素活性部位に対しては強い結合能を持たず,今回のスクリーニング実験ではより長いペプチドが取得された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Y2H用ランダムペプチドライブラリーを用いた複製酵素結合性ペプチドの探索では,複数個の活性部位に結合するペプチドを取得できた.結合性ペプチドは想定していた16アミノ酸ではなく,インサートの終止コドンに塩基の欠失が存在し,コンカテマー化が起きていた.その結果として,多くは50アミノ酸以上であった.これは16アミノ酸程度のペプチドでは複製酵素活性部位に対しては強い結合能を持たず,今回のスクリーニング実験ではよりコンカテマー化した配列によるペプチドが取得された.一方,PPI阻害活性ペプチドスクリーニング系の構築については,AlphaScreen法のアッセイ系に関する準備は完了した.しかしながら,標的1のMTドメイン,標的2はHelドメインのタンパク質発現実験が当初計画より若干遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,複製酵素を構成する1aタンパク質と2aタンパク質間の結合部位をさらに特定することで,両タンパク質間の相互作用を打ち消す可能性のあるペプチド候補を探索する.また,AlphaScreen法のアッセイ系を構築するために,標的1のMTドメイン,標的2のHelドメインのタンパク質発現実験について,Hisタグ,FLAGタグ,GSTタグを融合した各ウイルスドメインタンパク質の取得を最優先で進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
申請時にはAlpharScreen法を実施するために既存の機器のオプション装置として約140万円の設備備品費を使用する予定であったが,大学予算により2015年度に購入することができたため,本年度は設備備品費が不要となった.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度はAlpharScreen法を実施するためにタンパク質精製,蛍光試薬や専用プレートなどの消耗品費が高額となることが予想される.また,研究に必須であるペプチド合成や遺伝子合成などを外部に委託することで経費が増加するが,研究の進捗の加速を図るために効率的に使用額を配分して行く.
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