研究課題
これまで,分子動力学法(MD)およびMM/PBSA法を用いて脱皮ホルモン様活性化合物の結合自由エネルギーを算出し,脱皮ホルモン活性との間に良好な直線関係を見出した.このことから,インシリコで精度良く新規化合物を見いだせることがわかった.380万の構造データーベースから弱いながら脱皮ホルモン受容体に結合可能な化合物を見出した.最も活性の高かった化合物は2つの不斉炭素を持つことから4つ立体異性体存在する.4つの異性体を合成し活性の評価を行った.また,この手法を受容体の立体構造未知の幼若ホルモン様活性化合物のインシリコスクリーニングにも応用し,新規な幼若ホルモン様活性化合物を見出した.幼若ホルモンの受容体(Met)は,ショウジョウバエの脂肪体において発見され,その一次配列は明らかにされているが,立体構造は不明である.Metの一次配列をもとにして,タンパク質立体構造モデリングシステムFAMS (Full Automated Modeling System)を用いてMetの立体構造を構築した.OpenEye社のFREDを用いてドッキングシミュレーションを行って,ドッキングスコアのもっと高いものを初期構造としてMDシミュレーションを行った.AMBER16を用いてMDシミュレーションを行い,MM/PBSA法によって水溶液中での受容体-リガンド相互作用エネルギーを求め,JH類のホルモン活性との関係を調べた.また,OpenEye社のROCSというソフトウエアを用いて,重ね合わせを行い,500万化合物を1000個の化合物に絞り込んだ.FREDによってさらに50個に絞り込んだのち,MM/PBSA法を用いて結合自由エネルギーを求め,11個の化合物を候補化合物として選抜した.そのうちの一つであるN-Phenylpyperazine構造をもった化合物にJH-IIIの1/200程度の活性が見出された.
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