産雌性単為生殖を行うヨコバイ類に関して、とくに、沖縄本島においてマダラヒメヨコバイの一種Diomma sp.の調査を2019年4月21日および22日に行った。その結果、名護市に生育するウラジロエノキにおいて100個体のメス成虫を採集することができた。採集した個体は、ウラジロエノキの枝とともに飼育を行い、産卵を行わせた。さらに、本種を生かしたまま研究室に持ち帰り、インキュベーター内で栽培しているウラジロエノキ苗を餌として飼育を続けた。その結果、14日間の飼育が継続でき、すべてのメス成虫が死亡した。 その後、孵化を待ったが、幼虫を得ることはできなかった。これまでの野外調査ならびに室内飼育の結果から、本種の寄主植物がウラジロエノキである可能性が低いことが明らかなった。そのため、沖縄本島におけるウラジロエノキ以外での寄主植物探索を行った。本ヒメヨコバイはメスしか得られていないことから、正確な同定ができておらず、Diomma属ともしくはKusala属に類似する属・種であることしか判明していない。 次に、九州大学に収蔵されている標本コレクションについて調査を行った。九州大学コレクションは日本で高く充実していることから、日本産種の状態を最もよく考察することができる。これまで、記載をすることを目的として収集されてきたことから、性比についての考察はほんどなされてこなかった。そこで、ヨコバイ科中でオオヨコバイ亜科に並んで多様性の高いヨコバイ亜科について検討を行った。その結果、日本国内から未記載種が発見されたものの、メスに性比が著しく偏る種は確認されなかった。
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