研究課題/領域番号 |
16K07630
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
岡田 浩明 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業研究センター 虫・鳥獣害研究領域, グループ長 (30355333)
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研究期間 (年度) |
2016-10-21 – 2020-03-31
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キーワード | ネコブセンチュウ / ナス科植物 / 越冬栽培 |
研究実績の概要 |
l,供試作物の選定 ネコブセンチュウ(ネコブ)が寄生しやすく、圃場で栽培しやすい作物種を選ぶため、ネコブの接種試験を温室で行うとともに、圃場での栽培試験を行った。接種試験ではナス科のホオズキ類及びピーマンを用いた。圃場での発生が期待されるサツマイモネコブセンチュウを接種したところ、食用ホオズキの2品種とピーマンの1品種で特にネコブの卵のう形成数が多く、感受性品種だと判断した。これらの品種を圃場で栽培したところ、ホオズキの2品種は生育が早いが枯死する時期も早かった。ピーマンの感受性品種は着果後も長期間生育を続け、圃場試験に適していると判断した。 2 ,作物を越冬させる条件の検討 越冬させやすい作物種 (品種) を選定するため、供試作物の候補を圃場に定植し 、越冬栽培を試みた。ビニルトンネルで3重に覆い、小型の電気ヒーターを内部に設置して保温したところ、ピーマン及び食用ホオズキの各1品種が全株越冬した。一方ナスの1品種は1株が3月中旬まで生存したものの、4月まで生存した株はなかった。以上より、ピーマンの感受性品種が圃場試験に適していると判断した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
接種試験によりネコブセンチュウがよく寄生する作物品種を選定することができた上、その品種を実際に圃場で栽培させることができた。さらにその作物を圃場で越冬させることにも成功し、越冬に必要な栽培管理のノウハウを蓄積することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
H29年度は、圃場に、(1)定植、栽培した植物を越冬させて次年度以降も生育させる(圃場は不耕起管理)、(2)毎年植物を定植する(圃場は不耕起管理)、(3)毎年植物 を定植する(圃場は耕起する)試験区を設定する。ナス科の植物株を全試験区に春に定植し、秋まで常法に従って栽培する。 H29年度は栽培開始1年目なので、いずれの試験区でも秋には主茎を切断した後、トンネルで覆って保温する。翌春、降霜の時期を過ぎたら全試験区のビニ-ルトンネルを除去し、(2)と(3)の区では植物株を更新する。 試験開始前の土壌生物相について明らかにするため、植物定植の前に土壊を採取し、ネコブ及び捕食性の線虫等を分離して密度を測定する。土壊から分離後、主なグル-プごとに個体数をカウントし、サンプルを固定・保存し、後に詳細に種を同定する。天敵微生物についてDNAベ-スで評価するため、土壌を回収、凍結保存し、後の分析用とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
交付決定がH28年10月で、すでに圃場で作物を栽培できる時期を過ぎており、予備試験の実施及びH29年度試験の準備にとどまったため、発生した残額である。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額771,328円は、園芸資材(種子、肥料、加温機材等)や動物標本保存機材(ホルマリン、ガラス管ビン等)に20万円、研究補助員の雇用に30万円、土壌理化学性の外注分析に10万円、成果の学会発表旅費に10万円等、研究計画遂行のために使用する。
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