研究課題
植物体に張り巡らされる乳管細胞は、害虫・微生物に対する防御に特化した細胞である。乳管細胞は、植物種・器官ごとに独自の毒性因子群を蓄積することにより、それぞれに想定される昆虫・微生物等外敵を効果的に攻撃しているらしい。本研究では、トランスクリプトーム・プロテオーム・メタボローム解析を駆使して、乳管細胞の防御機能の分子的実体と多様性を理解する。研究期間の後半には、変異体昆虫を用いて、乳管細胞成分の昆虫に対する毒性ならびに昆虫による毒性回避の分子機構を理解する。研究成果は、天然ゴム産生植物等の乳管細胞生理学の知見を拡大するとともに、Btトキシンに代わるGM作物の新たな抗害虫遺伝子の開発に活用される。H29年度においては、前年度までに取得したメタボローム、プロテオームおよびトランスクリプトームデータをバイオインフォマティクス的手法により解析し、イチジクの3つの部位の乳管細胞がその蓄積物と遺伝子発現を互いに異にしており、それにより各部位の乳管細胞がそれぞれに想定される重要な外敵に対して最適化されている可能性を指摘した。いくつかの遺伝子についてはRT-PCRクローニングの後、異種生物発現を試みその表現型解析をした。
2: おおむね順調に進展している
概ね順調であり、次年度計画の遂行に致命的な支障はない。
H29年度の進捗は概ね計画通りだったので、当初予定通り進める。テルペノイドの重要性が前年度成果により示されたので、テルペノイドのメタボローム解析を計画に追加する。
軽微な差額である。次年度に繰り越して物品費に充当する。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件)
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