化学物質を用いない防除技術として土壌還元消毒に対する期待は大きい.しかし一方で,同過程における一酸化二窒素(N2O)の発生が懸念されている.本研究では,土壌還元消毒過程における酸化還元電位とN2O発生機構をモデル化することを目的とする.はじめに,水分不飽和土壌の酸化還元電位を安定的に測定するため,塩橋の使用を検討した.その結果,KCl濃度10%の塩橋が適していた.実験および数値シミュレーションの結果,土壌還元消毒時の初期NO3-N含有量が高い場合はEh低下速度が減少するため,N2O放出が長時間継続することがわかった.また,無機化,硝化に続く脱窒由来のN2O発生が重要であることが示唆された.
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