研究課題/領域番号 |
16K07653
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
七谷 圭 東北大学, 農学研究科, 助教 (00547333)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | トランスポーター |
研究実績の概要 |
産業微生物をはじめとして広く微生物に保存されている有機酸排出トランスポーター(AAExファミリートランスポーター)の構造と機能の解析に向け、平成28年度は、以下の研究を実施した。 (A-1)結晶化に適したAAExトランスポーターの探索:NCBI BLAST検索により、AAExファミリーに属するトランスポーターを探索し、ゲノムもしくは菌株を入手可能なホモログ10種類について、発現ベクターにクローニングした。作成したプラスミドを用いて大腸菌を宿主として、ウエスタンブロットにより発現を検討した。その結果、良好な発現を示したホモログ数種を選抜した。 (A-2)結晶化条件の探索と結晶構造解析:良好な発現を示したホモログについて、結晶化条件のスクリーニングに先立ち、発現培養・精製方法の最適化を試みた。その結果、膜タンパク質の結晶化に必要とされる300ug/L(培地)以上の精製タンパク質を得ることができた。現在は、これらの精製タンパク質を用いて、FSEC法により蛋白質の安定化条件の探索を進めている。 (B)AAExファミリートランスポーターの機能に重要なアミノ酸残基の探索と機能解析:AAExファミリートランスポーターの機能解析に向けて、アミノ酸排出輸送体の遺伝子破壊株を用いたin vivo輸送活性測定法の確立を行った。宿主として用いたアミノ酸排出輸送体の遺伝子破壊株は、ジペプチド感受性の性質を示すが、AAExファミリートランスポーターを導入することにより、生育が回復することでAAExファミリートランスポーターの活性測定を行うことを目指した。発現誘導条件、培養温度、ジペプチドの濃度を検討し、遺伝子破壊株の生育が回復する条件を決定した。今後は、この実験系を用いて、AAExファミリートランスポーターの機能に重要なアミノ酸残基の探索を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
(A)結晶化に適したAAExトランスポーターの探索:結晶化に適したAAExファミリートランスポーターの探索が予定してよりも進んでおり、探索は終了し、選抜したAAExトランスポーターの発現、精製条件の探索も終了した。現在は精製したトランスポーターを用いての安定化条件の探索を進めている。FSECを用いた安定化条件の探索についても、順調に条件の探索が進んでいる。 (B)AAExファミリートランスポーターの機能に重要なアミノ酸残基の探索と機能解析:おおむね実験計画で予定していた通りに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
(A)結晶化に適したAAExトランスポーターの探索:選抜したホモログの安定化条件の探索後、結晶化スクリーニングを進める。また、クライオ電子顕微鏡による単分子構造解析についても実験を進めている。今後は、これらの解析を同時に進める予定である。 (B)AAExファミリートランスポーターの機能に重要なアミノ酸残基の探索と機能解析:平成28年度に確立した実験系を用いて、機能に重要なアミノ酸残基の探索を進める。変異ライブラリの構築を進めており、平成29年度は、スクリーニングを進める予定である。
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